西田真澄。半蔵門にあるダルトン・インベストメンツの東京の拠点で。(撮影/写真映像部・山本二葉)
西田真澄。半蔵門にあるダルトン・インベストメンツの東京の拠点で。(撮影/写真映像部・山本二葉)
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「中居正広9000万円SEXスキャンダルの全貌」という見だしの週刊文春の記事がでたのは昨年の12月25日だ。新聞各紙の広告では右柱で大きくやっている。

 この初報に接したときダルトン・インベストメンツの西田真澄は、「まずい」とパニックに陥ったという。記事では、フジの幹部が性的暴行のあった中居のマンションでの会食を仲介したことになっている。

「チャンスとは思いませんでした。株価がこれでいっそう下がると思ったのです」

 ダルトンは2024年12月14日の時点で、フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の株を5.84パーセントまで買いましていた。

 実際、番組のスポンサーは相次いでおり始めて、株価は12月24日の1863円から下げ続ける。

 日枝久が取締役を退任するような動きはなく、第三者委員会の設置も独立したものではなく「第三者をいれた会社の委員会による調査」でフジはお茶をにごそうとしていた。

 1月14日、西田は、独立した第三者委員会の設置を株主として提案するレターを書き、フジに送付する。

 1月17日、当時の港浩一社長がテレビカメラもいれない会見を行い厳しく批判をされ、ついで27日に港、FMH社長の金光修らが10時間越えの会見を行ったが、この会見も、「CXの不適切な対応を、女性Aの責任に転嫁しており、女性Aに対する二次加害行為に当たる(三次加害とも言いうる)」(第三者委員会)というものだった。

 西田が非常にまずいと思ったのは、フジの売上が9割減っているということを知ったことだった。1月28日にフジテレビの新しい社長になった清水賢治が、記者会見で明らかにしている。

 これまでダルトンは、アクティビストファンドとは言っても、誰かを指名して辞めろというようなことはしてこなかった。が、ここにおいて西田は、日枝がやめて、独立した社外取締役が過半数を占める取締役会にならないかぎり、フジは変わらないと考え、2月3日2通目のレターを出す。

「もっとも大事なことは、日枝久がフジ・メディア・ホールディングスおよびフジテレビの取締役を辞めることだ」

「今回の一連のスキャンダルの根本原因が、フジのガバナンスの完全な不全にあることは誰の目にも明らかだ」

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