アドベンチャーワールドにいたパンダの結浜
アドベンチャーワールドにいたパンダの結浜

町長が世耕氏の「脅し」を暴露

 両陣営の激しい攻防の中で、二階氏を支援する由良町の山名実町長は、自身のFacebookで、こんな“暴露”をした。

〈7月6日に世耕衆議院議員からこのような内容の電話がありました。いきなり、私に「動かないで下さい」「SNSの拡散はしないで下さい」「私らは必ず勝ちます」「これからの関係が大切でしょう」と、私はびびりました〉

〈望月候補との戦いの中で世耕議員からこのような電話が来ると言うのは脅しにあたると思います。動くなと言うことは選挙の自由の妨害にもあたると私は思います。このような事が許されるのでしょうか?〉

パンダ外交をめぐっても応酬

 この激しい「戦争」に巻き込まれたのが、「パンダ」だ。

 アドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)最大のセールスポイントだったパンダ4頭が6月末に中国に返還され、話題になった。日本と中国の「ジャイアントパンダ保護共同プロジェクト」の契約期間満了に伴うものだが、和歌山ではパンダの再貸与を求める機運が高まっている。かつてパンダ外交を後押ししてきたのが、日中友好議員連盟の会長も務めていた二階俊博氏。俊博氏と中国との親密な関係は知られるところで、伸康氏も秘書としてそれに接してきた。そのため二階氏は参院選の演説で、

「パンダを白浜に戻したい。中国と交渉したい。そのためには参議院議員のバッジが必要なのです。地域の経済効果は1300億円」

 などと何度も訴えた。するとこれを踏まえて世耕氏は自身のXで、こう切り返したのだ。

〈パンダは大きな観光資源であるし、帰ってきたらとても嬉しい話だが、一方で私はパンダに関して政治家は関与や中国に対する「お願い」をすべきでないと思っている〉

〈そうでないと相手のパンダ外交に乗せられてしまうことになる〉

 これについて二階氏陣営のA氏は、

「パンダは失敗だったかもな。受けていない」

 と暗い表情だ。

 対する世耕氏陣営のB氏は、笑みをこぼす。

「鶴保氏の失言にパンダと、二階氏側はこちらが反撃できるネタをよく提供してくれます。オウンゴール連発だ」

 パンダも取りざたされる「紀州戦争」の行方はいかに?

(AERA編集部・今西憲之)

*  *  *

 和歌山選挙区ではこのほか、日本維新の会の浦平美博氏、共産党の前久氏、参政党の林元政子氏、NHK党の本間奈々氏、無所属の末吉亜矢氏が立候補している。

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