
「和歌山の空気の入れ替えを」
一方の望月氏陣営は、このタイミングを逃さなかった。鶴保氏の発言の翌9日、これまで望月氏のバックアップにとどめていた世耕氏が、御坊市であった集会で初めて前面に立ってマイクを持つと、
「自民党の議員がとんでもない発言をした」
と言った後、
「和歌山の空気の入れ替えを実現しなければならない」
と訴えた。また世耕氏は自身のXでも鶴保氏の発言をとりあげ、
〈これはあまりにも酷い発言です〉
〈あまりにも県民の気持ちから乖離した発言。こんなこと和歌山県民一人たりとも思っていません〉
などと批判を展開した。
望月氏陣営の地方議員B氏は、こう話す。
「世耕先生の風向きを読む感覚は抜群です。“鶴保失言”をチャンスだと読み、攻勢に転じたのでしょう。鶴保批判に、支援者は拍手喝采だった。世耕先生も、会場の盛り上がりに満足そうだった」
「人間関係が大切ではないか」
これに対して焦る自民党では、森山裕幹事長が7月15日に和歌山入り。これまで和歌山では二階俊博氏はじめ自民党が強固な保守基盤を築いてきたことを念頭に、
「和歌山らしくない、このような選挙。少しおかしな選挙でありまして、異例で、異様」
と苦言を呈し、さらに「紀州戦争」を仕掛けている世耕氏をこう批判した。
「優秀で能力がある方だが、今回は理解できない」
「(世耕氏は)安倍晋三首相が期待して育てられた方。しかし安倍政権を支えていたのは、幹事長の二階(俊博)氏でした。その関係もわかっておられる。今は(世耕氏は)自民党ではないが、人間関係を大事にして生きていくのが大切ではないか」
すると、世耕氏は森山氏に対抗するように、17日に和歌山市内であった集会に1000人ほどの支援者を集めてこう訴えた。
「(昨年の衆院選は)私の圧勝だった。皆様のもう一回がんばれという応援があってのこと。私は安倍さんのそばでずっと仕事をしてきました。真の保守政治とは何かということを教えてもらいました。望月さんこそ間違いなく真の保守政治を取り戻してくれる」