
20日投開票の参院選で「外国人政策」が論点に浮上している。外国人への対応の厳格化や受け入れ規制などを打ち出す政党も相次いでいる。人口減少と高齢化が加速し、「経済のパイ」が小さくなる日本で、外国人とどう向き合っていけばいいのか。
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スマートフォンで賃貸不動産の情報サイトを開けば、誰でもすぐに物件情報にアクセスできる時代。ところが日本に住む外国人にとっては、そこから先に進むハードルが非常に高いのが現実だ。
「片言の日本語で勇気を振り絞って取扱店舗に電話すると、言葉のアクセントで外国人だと分かった時点で数秒もたたないうちに、『その物件はもうありません』と断られる。こんな事例は挙げればきりがありません」
こう話すのは、日本最大級の外国人向け不動産ポータルサイトを運営する「wagaya Japan」の草薙匡寛取締役だ。同社は不動産事業を全国展開する「日本エイジェント」(愛媛県松山市)の子会社として、外国人向けサービスに特化した業務の拡充に取り組む。草薙さんは外国人のさまざまな課題解決を最前線で担う現場の責任者だ。
草薙さんに、日本では「外国人お断り」の賃貸物件がいまだに少なくないのですか、と尋ねると、「少なくないというか、多いです」という返事がかえってきた。
メールで入居希望を申し込んだ米国籍の20代男性が「10軒ほどの物件に申し込んだが、すべて入居審査ではねられた」と駆け込んできたことも。男性は「これは差別だ。アメリカではこんなことは起きない」と憤慨していたという。
「この男性はITエンジニアでしっかりした勤務先もあり高収入も得ていました。『外国人だから』という理由なのではないか、と考えています」(草薙さん)
問い合わせの際に、管理会社から肌の色を聞かれるケースもあるという。
「何十軒も断られると精神的に参ってしまう人がほとんどです。日本に憧れや希望を抱いて入国しても、住まいの確保という入り口の段階でこうした扱いを受けると、一瞬にして失望してしまうのも無理はないと感じます」(同)