フジコネクトが中国のSNS「小紅書」(通称「RED」)に掲載している日本の不動産情報(フジコネクト提供)
フジコネクトが中国のSNS「小紅書」(通称「RED」)に掲載している日本の不動産情報(フジコネクト提供)

 出入国在留管理庁の統計によると、日本に住む外国人の中で最も多いのは中国人で、2014年末の65万人台から年々上昇。コロナ禍でいったん減少したものの、22年末から再び上昇し、直近は約87万3千人(24年末時点)で前年を5万人余り上回る勢いで伸びている。このうち、在留資格別では「永住者」34万人、「留学」14万人、「技術・人文知識・国際業務」10万人となっている。

 中国進出を図る日本の企業支援を行う「フジコネクト」(東京都港区)は昨年、中国人の日本の不動産市場への関心の高まりを受け、中国本土のソーシャルプラットフォーム上で日本の不動産情報の提供サービスを始めた。

 海外商品を購入するブームの火付け役となった中国のSNS「小紅書(RED)」に、日本の不動産購入を検討している中国人と、中国人に不動産を売却したいと考えている日本の不動産業者や個人をつなぐアカウントを開設。サイトには、都心のタワマンもあれば、離島の別荘、一棟売りのマンションも掲載されている。

 日本各地の戸建てやマンションなど常時数十軒の物件を掲載し、中国側から月数十件の問い合わせが寄せられているという。富士寛也代表取締役は言う。

「『民泊施設として活用したい』『別荘やセカンドハウスとして所有したい』という声のほか、最近は家族で移住して暮らすための物件を探す中国人の問い合わせも増えています」

 関心を示すのは一定の資産のある中国人だが、資産階級ピラミッドの最上位に立つ超富裕層よりも、中間層に近い人たちが目立つという。

「中間層といっても上海や香港に住んでいる方は、一般的な日本人よりも余裕でお金持ちが多いように感じます。こうした層は子どもの教育に熱心で、住環境や食の安全にも意識が高いという共通点があります」(富士さん)

 日本移住を検討している中国人は「日本は水も空気もきれいで、食べ物もおいしい」と口をそろえるという。

「ビジネスや投資目的だけでなく、子育て環境にすぐれた住みよい日本での生活を求める中国人が多いのが現実です」(同)

 ここ数年、コンスタントに中国人に中古マンションを売却してきたという冒頭の不動産業の男性も、「変化」を実感している一人だ。男性が取り扱っているのは主に、3千万~5千万円台の40平方メートル前後の物件。最新設備やトレンドのデザインを取り込んだリノベーション済みの内装で、経済的に自立している単身女性を主なターゲット層に据えている。このシリーズの物件を最近購入した中国人は、2人とも20代女性だったという。

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