
昨年より機能しなくなった打線
DeNAは今年から打撃コーチを置かず、野手コーチを新設した。1、2軍と肩書を明確に分けていないが、新任の村田修一コーチ、大村巌コーチ、田代富雄コーチが1軍、石井コーチ、鈴木尚典コーチ、柳田殖生コーチがファームで指導に当たっている。DeNAを長年取材するライターはこう指摘する。
「野手コーチは技術指導専門のコーチで、1軍は靏岡賢二郎一軍オフェンスチーフコーチがデータや相手投手を分析する戦略面を担当しています。選手の技術指導と作戦面のコーチを分ける形にしているので、チーム打率が落ちている原因を村田コーチに背負わせるのは酷でしょう。ただ、石井コーチを1軍に置かないのは疑問に感じます。技術指導だけでなく、戦略面でも引き出しが多い。ファームの育成強化は重要な役割ですが、石井コーチが1軍で指導に当たっていた昨年のほうが、打線が機能していたことは間違いありません」
投手陣は東、ケイ、ジャクソンが防御率1点台だ。バウアーは4勝7敗で規定投球回数到達者の中でリーグワーストの防御率4.06。本人の希望もあり、中4日でも登板しているが好結果に結びついているとは言えない。4勝目をあげたあと、4連敗している。
投打でタレントがそろっているが、チーム力を高められているとは言えない。昨年は日本一に輝いたが、レギュラーシーズンは貯金2で3位。シーズン終盤に広島の大失速がなければCS進出は危うかった。その後の下克上で26年ぶりの日本一となり、三浦監督は正力松太郎賞を受賞したが、就任4年間でリーグ優勝はないことから手腕の評価が分かれる。今年はリーグ優勝と2年連続日本一を目標に掲げているが、阪神にこれ以上ゲーム差を離されると厳しい。
DeNAは巻き返しに向け、昨年の日本一に貢献し、退団していたフォードの再獲得を7月8日に発表した。また、中日の中軸として活躍したビシエド、メジャーから日本球界に復帰する藤浪晋太郎の獲得調査をしていることが複数のメディアで報じられた。
「過度な期待は禁物です。フォードは確実性が課題で、ビシエドも36歳と全盛期を過ぎている。藤浪は阪神で伸び悩んで、メジャーでも制球難に苦しんでいた。効果的な補強と言えるかは現時点で判断が難しい。ただ、球団が『優勝をあきらめていない』と本気度を示したともいえます。三浦監督の契約年数は球団から発表されていませんが、結果次第では来季の去就が不透明です。セ・リーグを盛り上げるためにも意地を見せてほしいですね」(民放テレビ関係者)
まだあきらめる時期ではない。暑い夏に白星を重ね、阪神の独走を止めることはできるだろうか。
(今川秀悟)
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