
阪神が首位を独走するセ・リーグ。開幕前、野球評論家から「個々の選手の能力では見劣りしない」と阪神とともに優勝候補に挙げる声が多かったのは、昨年日本一に輝いたDeNAだった。だが、DeNAは借金1で4位に沈んでいる。(7月9日現在)
「東克樹、ジャクソン、ケイ、バウアーとエース級の投手を4人擁し、牧秀悟、佐野恵太、宮崎敏郎、オースティン、筒香嘉智と強打者をそろえた打線の破壊力はリーグ屈指。山本祐大は球界を代表する捕手になる可能性を秘め、森敬斗、梶原昂希、度会隆輝、井上絢登、松尾汐恩など能力の高い若手も多い。救援陣に不安を抱えているものの、阪神、巨人と共に優勝を狙える戦力とみられていました。でも、蓋を開けてみれば阪神に大差をつけられている。昨年はレギュラーシーズン3位からCS、日本シリーズを勝ち抜いて下克上を果たしましたが、このままでは厳しい。今年の戦力で優勝争いに絡めないようでは、ファンも納得できないでしょう」(スポーツ紙デスク)
DeNAは勢いに乗ると手が付けられない反面、負けると歯止めが利かない。長年指摘されていたチーム体質を今年も解消できていない。6月上旬は貯金7でリーグ2位につけていたが、6月10日以降は7勝15敗1分と大きく失速。6月27日からの巨人3連戦では3試合連続完封負けを喫した。
気がかりなのは、看板の強力打線が精彩を欠いていることだ。チーム打率を見ると、昨年はリーグトップの.256だったが、今年は.229と大幅に落ち込んでいる。昨年の首位打者・オースティンは打撃の状態が上向かず、膝の故障もあって6月上旬以降ファームへ。コンディションが万全でなく1軍復帰のメドが立っていない。打撃の状態が上がらない筒香、森敬、梶原も7月7日にそろって登録抹消された。
球団OBは「打線が線になっていないですよね。昨年は1軍でベンチ入りしていた石井琢朗野手コーチがつなぐ意識や凡打の内容を重視していましたが、今年は個々の選手が振り回している印象がある。梶原は典型的です。ボール球を我慢して見極められていたのに、今年はボール球に手を出して空振りするので打率が上がってこない。何とかしなければいけないという精神的な焦りもあると思いますが、能力が高い選手なのでもったいない」と話す。