元朝日新聞記者 稲垣えみ子
元朝日新聞記者 稲垣えみ子
この記事の写真をすべて見る

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【写真】おばちゃんに教わった朴葉もちはこちら

*  *  *

 長野の木曽町にて、地域の伝統食に関心を持つ人の会合でお話をさせてもらうことになり、せっかくの機会なので、地域の女性が集まって昔ながらの「朴葉(ほおば)もち」を作っているところを見せて頂いた。

 実は朴葉と言えば、枯れた葉っぱの上で味噌を焼いて食べる飛騨高山の「朴葉味噌」しか知らなかったんだが、木曽では青々としたフレッシュな葉を使う。餡の入った団子を赤ちゃんのおくるみのようにきっちり包み、イグサを一巻きして結んで蒸して完成。「ほんのり朴葉の香りがするよー」と言われ、集中してもぐもぐ味わうのは、今時の華やかスイーツにはないふくよかな時間である。

次のページ なるほど贅沢には2種類あるのだな