
山尾氏が“参戦”したことによる影響は?
塩村氏の演説中、聴衆からは終始「そうだー!」という合いの手や拍手もあった。最後まで聞き終え、「(他候補と比べて)一番まともなこと言ってるわ」とつぶやく人もいた。
本人の手応えはどうなのか。演説後の塩村氏に、AERAの当落予測では当選可能性が最も高い◎判定がついていることを伝えると、「絶対そんなことないですよー!」と満面の笑みが返ってきた。
「私の公約は、演説を聞いてくれた人には確実に届いていると思いますが、それは砂漠に水をまくようなもので、どれだけ多くの人に伝わるかは疑問です。でも(7議席ある)東京選挙区なら、一人くらいはこういう候補を選んでくれるんじゃないかと」
現職としての自信もありそうだが、一方で新たなライバルも現れた。国民民主党の公認内定取り消しを受けて無所属での出馬を決めた山尾志桜里氏(50)だ。塩村氏と同世代の女性候補であり、票を食い合う可能性もあるが、塩村氏は笑顔を崩さずこう応じた。
「あっちの支持層がこっちに来る、こっちの支持層があっちに行く、ということはないと思いますが、無党派層は知名度のある人を選ぶ傾向があるので一定の影響はあるでしょう。ただ、選挙なので結果は結果として受け止めるだけです」
知名度という意味では、今年4月にNHKを退局した元アナウンサー、国民民主の牛田氏も有力候補だ。在局中は、政治討論番組「日曜討論」の司会も務めていた。
この日、牛田氏が演説会場に選んだ大田区の蒲田駅前には120人ほどが集まっていた。SNSでの切り抜き動画拡散を歓迎する国民民主だけあって、本格派の機材を設置して動画撮影をしているYouTuberの姿もあった。
演説が始まると、牛田氏はアナウンサー時代の葛藤と出馬への思いを切々と訴えた。
「私は人の役に立ちたい、社会の課題解決をしたいと思って前の仕事を選びました。けれど目の前に声を上げられない人がいる。これは本当に課題解決になり得ているのだろうかという思いもありました」
出馬当初の演説は、元アナウンサーゆえか、原稿を読んでいるようで熱量に欠けると評した一部報道もあった。だがこの日は、政治家然としたメリハリある話しぶりを披露し、パラパラと拍手も起きていた。
成長の裏には、この人の存在もあるのかもしれない。応援弁士として牛田氏の隣に立った、幹事長の榛葉賀津也氏だ。榛葉氏は女性人気が高いことで知られ、この日も熱いまなざしを送るマダムたちの姿がちらほら見受けられた。