「金利市場では9月の利下げをほぼ織り込みつつあります」(石黒氏)

 トランプリスクの解消に業績好調、利下げ期待の3要素で再び株高期待が高まっているというのだ。そのため、石黒氏はS&P500指数は「6500到達も射程圏」(直近は6200ポイント)と話す。

 ただし、高値警戒感が出てきているという。

「S&P500構成銘柄のPERはレンジの上限に相当する22倍に達しています。また、マグニフィセント7の増益率が15%なのに対して、S&P500からその7社を除いた493社の平均増益率は0.1%にとどまっています。後者の増益率が改善してPERが低下しないと、さらなる株高を望みにくくなってくるでしょう。一方で、日米貿易交渉が停滞しており、トランプ大統領が30%以上への対日関税引き上げを示唆しているため、日経平均も上値が重たくなってくる可能性がある」

再び史上最高値

 7月20日には参院選の投開票が控えているが、石黒・大谷両氏ともに「選挙が株価に与える影響は小さい」と見る。

「与党が参院でも過半数を割る可能性が指摘されていますが、2009年のような政権交代ムードはありません。自公が下野するようなことがあっても、立憲民主ほか野党の多くが経済対策を重視しているため株価が崩れる可能性は低い」(大谷氏)

 石黒氏は「過半数割れで石破退陣となれば、むしろ相場にはプラスに働く可能性もある」と見ており、選挙を経て相場がいったん崩れるようなことがあれば、絶好の買い場となるかもしれないという。

「7月後半から8月前半にかけて日本企業の4―6月の業績が出てきます。ここで関税リスクに対する不安が解消されるようならば、株価は一段高となるでしょう。基調物価(一時的な要因などを除外した物価上昇の傾向)が1.6%台で日銀が目標とする2%を下回っており、当面の利上げリスクが後退していることを考えると、日経平均が再び史上最高値を更新していくシナリオも考えられる」(石黒氏)

 トランプ関税ショックで新NISAの積み立て投資を止めてしまったり、積み立て金額を減らしたりした人は少なからずいるはず。資産形成を狙うなら、やはり、ほったらかしがよさそうだ。

(ジャーナリスト・田茂井治)

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