例えば、3000万円の価値のある建物の場合、「全損」と査定されても保険金の上限は1500万円。「一部損」だと全損の5%の75万円にとどまる。

 「代理店や営業担当者によって説明の仕方は違うと思いますが、少なくとも私たちは『地震保険は保険料の負担の割に費用対効果はあまりよくない』ということは丁寧にお伝えするようにしています」(川井さん)

 川井さんの肌感覚では、高齢世帯よりも出費の機会の多い子育て世帯のほうが地震保険を途中解約するケースが多いという。

 「火災保険の保険料全体に占める地震保険料は都道府県によっては半分超になります。ということは、地震保険を解約すれば火災保険の負担は2分の1以下になる場合があります。住宅ローンを抱えながら場合によっては年数十万円を保険料で出費するのは痛い。それならこの分を貯金か投資に回そうと考える傾向は子育て世代によく見られます」

 最終的な判断は個人に委ねられるが、日本で暮らす以上、震災リスクとは無縁でいられない。そのことだけは肝に銘じておきたい。

(AERA編集部 渡辺豪)

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