地震保険基本料・都道府県ランキング
地震保険基本料・都道府県ランキング

 保険料アップの要因として、まず挙げられるのが火災保険料の改定だ。損保各社でつくる「損害保険料率算出機構」が23年6月、個人向け火災保険料の目安となる「参考純率」を過去最大幅となる13%(全国平均)引き上げた。これにより、損害保険大手4社などは24年10月以降、火災保険料を全国平均で1割ほどアップ。火災保険の値上げは19年以降4回目で、この5年で4割ほども上昇しているという。

 火災保険料が上がる背景には3つの要因がある。1つが、自然災害の増加と保険金支払いの急増だ。ここ数年、日本では台風や豪雨による浸水被害が頻発しており、保険会社の支払額は過去最大規模になった。

 「18年の台風21号では火災保険だけで9202億円超の保険金が支払われ、保険会社の収支は大きく悪化しました。このような『予想を超える自然災害の連続』が保険料見直しの主因です」(川井さん)

 また、近年の物価上昇や人件費の高騰により、住宅再建や修理のコストが大きく上がっていることも背景に挙げられる。23年以降に見直されたのが、洪水や土砂崩れなどの水災リスクの評価だ。水災補償は火災保険に付帯して契約を選択できる。

 「これまでは全国一律だった水災保険料が、地域ごとのリスクに応じて5段階で設定されるようになりました。これにより、河川や海に近い地域では保険料が増加するケースが増えています」(同)

 もう1つ、火災保険とのセット加入で、全体の保険料を押し上げているのが地震保険だ。ただし、これはエリアによって明暗が大きく分かれる【公表資料をもとにオアシス社が作成した都道府県ごとの「地震保険料ランキング」参照】。川井さんは言う。

「地震保険料は22年10月の改定で、エリアや建物の構造によっては最大3割も値上げされています」

 値上げが目立つのは、関東では茨城県や埼玉県のほか、四国の高知県や徳島県など。

 地震保険料は地震の揺れによる損壊などの危険度合いを考慮して、建物の所在地、建物の構造、建物の免震・耐震性能に応じた割引――の3要素で決まる。ちなみに、地震保険は政府と民間の保険会社が共同で運営し、法律で補償内容や保険料が決められているため、どの保険会社で加入しても内容は同じだ。

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