ハマ:作曲されたinvisible mannersのお二人にとって、「マホロバケーション」が初めて打ち込みから生に差し替わる曲だったらしく、ちょっとしたニュアンスの違いでも「もう一回」って要求されて。闘いでした、いい意味でね。「これ以上やると腱鞘炎になるから一回ちょっと休憩させてほしい」みたいな会話をしたのも覚えてる。
百田:そんな壮絶な!
ハマ:僕もまだ若かったし、作曲者にももちろんプライドがあるし、完成図があるから。
百田:もしかしてあの曲のこと……嫌いですか?
ハマ:ははは! 今となっては笑い話ですよ。でも、どの曲にもちゃんとあるんですよね、思い出って。不思議なもんで。
百田:よかった~(笑)。ハマさんはこれまでいろんなアーティストの楽曲を演奏されていますけど、とくに思い出深い曲を挙げるとしたら、何ですか?
ハマ:やっぱりあれですよね、(星野)源さんの「恋」。源さんのレコーディングって、みんなでせーので録るんですけど、演奏が終わってみんなでコンソールのほうに戻ってきたら、自然と「これ、超いい曲だね」「だよね」って盛り上がって。「何かに使われるんですか?」「たぶんドラマの主題歌になるよ」「へえ~」みたいな。僕、いつもは曲が何に使われるのかなんて聞かないんですけど、すごい曲に携われたなっていう感触があって。
百田:レコーディングの時点で何か感じたんですね。それがのちに社会現象になり、日本中の誰もが歌える曲になるっていう。
ハマ:本当にどこへ行っても流れていましたから。普通に生活していてあれだけ自分の演奏が聴こえてくるって、なかなか人生にないことなので。やっぱ「恋」は外せないですね。
(構成/編集部・藤井直樹)
※AERA 2025年7月7日号
※この対談の続きは7月7日発売の「AERA 7月14日号」に掲載します。
こちらの記事もおすすめ ノンストップ120分対談! サカナクション・山口一郎×ももクロ・百田夏菜子 「間違いなく、ももクロはパイオニアだと思う」