ロッテの応援はすごい、と改めて感動した」(交流戦でZOZOマリンへ足を運んだ広島ファン)など、現地で感じることは多い。そしてチーム成績を応援がカバーしている部分もある。

「(ロッテは)“サッカー応援”などと言われ賛否両論もあるが、あの光景をナマで見れば凄さを感じるはず。他球団もロッテ同様に飛び跳ねるファンが増えたが、同時に新たな問題も生まれている」(NPB関係者)

 ロッテだけでなく攻撃中に“立ち応援”するファンが増えている。球場によって「“立ち応援”は状況次第でNG」としているところもある。飛び跳ねなくとも、“立ち応援”によって座っているファンの視界が遮られて起こるトラブルは少なくない。

「原則『ビジター応援席以外では応援、グッズ着用禁止』にしているのは、他球団ファン同士のトラブルを避けるためだった。ところが最近は、同一球団ファン同士でも“立ち応援”を巡って揉め事が起きている」(阪神関係者)

 阪神主催試合では、「(“立ち応援”は)十分ご配慮の上、ご観戦ください」と注意されるなど、原則は認められていない。関西圏では阪神が日常生活の1つになっている。老若男女の幅広い層が球場へ足を運ぶため、揉め事が起きても不思議ではない。

「外野席だけでなく、内野席でも立ち上がって熱狂的に応援するファンもいる。ありがたい事なので全否定はできません」(阪神関係者)と、どちらか一方へ全振りするわけにはいかない事情がある。

 以前から“鳴り物応援”には賛否両論がある。オールドファンを中心に「野球に集中できない」と批判が多い。しかし海外の人からは、「クールな観戦方法」と賛美を受ける。今後は同様に“立ち応援”も議論されることになりそうだ。

「今年の交流戦では、三塁側アルプス席でジャンプしていたロッテファンの方がいた。この場合、指定エリア外だったので即座に自粛していただいた。全てをNGにはできないので、今後も同様の対処方法になるだろう」(阪神関係者)

「各球団主催試合に関しては、各球団に運営を任せている。各地域の特色、球団の伝統等もあり、よほどのこと以外は口出しできない。“立ち応援”も事件・事故に繋がらない範囲では、同様になる」(NPB関係者)

 オールスターゲーム、日本シリーズ、侍ジャパン以外の興行に関しては、運営方法が主催球団の裁量に任されている。大きなトラブルが起きない限り、NPBが関与しない(できない)のは、「ある意味で、日本プロ野球の伝統」(スポーツマーケティング会社関係者)とも言える。

「性善説ではないが、同じ野球ファン同士、お互いを気遣って楽しんでもらいたい」(NPB関係者)というのが、今のところは唯一の改善策のようだ。

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