そんなみうらさんが「老けづくり」に当たってまず取り組んだのが、自分の「戒名」をつくることだったという。
「戒名って、ま、自分のキャッチフレーズですからね。お寺で頼むんじゃなくて、自分で決めて、それに邁進して死ぬのが一番だと思っているんです。僕の場合は差し詰め『マイブーム居士』という戒名がいいんじゃないかと。マイブームをずっとやってるジイさんですからね。世の中、『若者』とか『老人』とか一括りにして言うけど、みんな違って、みんな変だから。そんな大雑把な捉え方してても、自分はそこに当てはまらないんじゃないかなと」
「戒名」も自分流。仏教に詳しいことでも知られるみうらさんだからこそ、なせる業でもあったのだろうか。
「僕のは、あくまでマイ仏教だから。自分が勝手に解釈してるだけのことです。自分は団体に属するのが昔から苦手でね。僕以外にも本当はたくさんいるんだろうけど、年を取ると、みんな『老人』の枠の中に入れられてなんか息苦しいんじゃないかなと思ったんです。それで『アウト老』。そんな道はないけども、さもあるように思って、その道を行くみたいなやり口です。僕はロック世代だったんで、努めて自分を信じないようにしています」
反逆の精神こそが「アウト老」。そう言えば、50代の筆者も物心ついたころから組織に属するのが苦手だった。そんな人間は老いとどう向き合えばいいのか。「人それぞれだから他人のことは分からない」と断った上で、みうらさんはこう続けた。
「団体に属している意識をやめたら逃れられることがたくさんあるんじゃないかと。『老人』という団体に所属してると思うと悩みが生じるから。やはりそこは『比較三原則』ってやつで、他人や、自分の親族や、過去の自分と比較しないってことです。団体に属している意識がある限り、比較しますから悩みは出て当然だと思います」
御年67歳のみうらさん。「比較三原則」ノーを貫いているのか。
「比較三原則も修行の一環です。努めて『比較しない』と思い込んでいますが、なかなか比較しないで生きるなんて、人間である限りできないと思います。ですけど、『いつも心に比較三原則を』って思ってると、あの人より俺のほうがしんどいとかっていうマウント取りもなくなってくるんじゃないかとね。そして、『老いるショック!』と言って自分を笑いものにする。そうすると、少しはつらいことも気にならなくなるのでは」