そして彼らの顔ぶれを見て分かるのが、高校、大学、社会人とあらゆるカテゴリーから上位指名で選手を獲得して戦力としているという点だ。あらためてまとめてみると以下のようになっている。
高校生:堀、清宮、野村、達
大学生:石井、伊藤、金村、矢沢、細野
社会人:加藤、河野
過去10年間のチーム成績を見ると2016年には日本一に輝いているものの、その後はほとんど優勝争いに絡むことができず、低迷しているシーズンが多かった。そんなチーム状況でも安易に即戦力候補ばかりを集めるのではなく、少し時間のかかる選手でもスケールがあれば上位で指名するという方針は崩しておらず、その中から清宮、野村、達、細野といった成功例が出てきている。
また下位指名についても上位指名の選手ほど成功率は高くないものの、高卒では万波中正(2018年4位)、田宮裕涼(2018年6位)が大きく成長しており、大学卒の北山亘基(2021年8位)と社会人出身の上川畑大悟(2021年9位)が早くから戦力となっている。こういった将来性と即戦力のバランスの良さが、今のチームの骨格を担う部分となっていると言えるだろう。
最後にやはり大きかったのが、新庄監督就任後に選手をしっかり見極めたという点ではないだろうか。最初の2年間はチーム成績こそ低迷していたものの、多くの選手を一軍で起用しており、そこからブレイクした選手は少なくない。また、そこで結果を残せなかった選手についても単純に自由契約とするのではなく、積極的にトレードをしかけて他球団から選手を獲得し、斎藤友貴哉、郡司裕也、山本拓実などが戦力となっている。また現役ドラフトで獲得した水谷瞬と吉田賢吾も抜擢して結果を残すなど、まずは選手を試すという方針もプラスに働いた面が大きかったと言えるだろう。
2位以下とのゲーム差は小さく、まだまだ優勝に向けて山場はありそうだが、戦力的に充実してきていることは間違いない。2016年以来となるリーグ優勝、日本一に向けて、今後の日本ハムの戦いぶりにぜひ注目してもらいたい。
(文・西尾典文)
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