
新庄剛志監督就任3年目の昨年、パ・リーグ2位へと躍進した日本ハム。今シーズンも開幕から順調に勝ち星を重ね、セ・パ交流戦終了時点で首位を快走している。一昨年までは5年連続でBクラス、2年連続で最下位に沈んでいた状況を考えると、見事な戦いぶりと言えるだろう。
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ではチーム好調の要因はどこにあるのだろうか。まず大きいのが本拠地の移転によってチームの財政状況が好転し、それにともなってフリー・エージェント(FA)や外国人などの補強を積極的に行えるようになったことである。札幌ドームを本拠地としていた頃は収益性が低く、選手の総年俸は厳しく上限が定められており、ある程度活躍した選手は他球団へ移籍するケースが多かったが、新本拠地のエスコンフィールドHOKKAIDOへ移転が決まってからは、逆に実績のある選手を獲得するケースが増えているのだ。FAでも過去5年間に伏見寅威、山崎福也、福谷浩司の3人を獲得。近藤健介(ソフトバンク)は残留交渉が成功しなかったものの、一昨年オフは石井一成、昨年オフには加藤貴之もFA権を取得しながら残留を決めている。
また外国人選手も実績を残したバーヘイゲン、ザバラ、レイエス、マルティネスの4人が揃って残留。今年は苦戦している選手が目立つものの、レイエスは主砲として十分な活躍を見せている。以前のような年俸総額が厳しい時代であれば、ここで名前を挙げた選手たちは全員他球団に移籍していた可能性も高いだろう。北広島への移転はリスクを懸念する声もあったが、今のところ観客動員も好調であり、チームを支える体制が改善していることは間違いないだろう。
もう一つの要因はやはりスカウティング面にある。過去10年のドラフト上位(1位と2位)で指名した選手を改めて振り返ってみると、加藤貴之(2015年2位)、石井一成(2016年2位)、清宮幸太郎(2017年1位)、野村佑希(2018年2位)、河野竜生(2019年1位)、伊藤大海(2020年1位)、五十幡亮汰(2020年2位)、達孝太(2021年1位)、金村尚真(2022年2位)と9人が一軍の主力となっており、矢沢宏太(2022年1位)と細野晴希(2023年1位)も戦力になりつつあるのだ。現在は苦しんでいるものの、堀瑞輝(2016年1位)も2021年には最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得している。
また西村天裕(2017年2位・現ロッテ)と吉田輝星(2018年1位・現オリックス)は日本ハムに在籍中は目立った成績を残せなかったが、トレード要員としては球団に貢献しており、純粋に自由契約となったのは立野和明(2019年1位)だけしかいない。上位指名の選手が機能しているという意味では12球団でも屈指である。