
内部通報を「証拠なし」とした新社長
19年に、高齢客らに強引に保険を乗り換えさせる「かんぽ生命」の不正契約の問題が発覚しました。この問題では、現場の営業マン28人が懲戒解雇されました。しかし、不正契約を黙認していた管理職は誰一人、懲戒解雇になっていません。管理職や上層部は、「私たちは『法を守れよ』と言ったが、こいつらが勝手に暴走して取ってきた」というストーリーで、逃げ切ったわけです。
――大阪の郵便局では22年4月に、社員が点呼の実施が不適切だとする通報を日本郵政の外部専門チームに送っていました。また同じ通報者は翌23年11月、日本郵便本社の内部通報窓口にも通報しています。しかしいずれも、「違反はない」として対策を取っていませんでした。
そうです。この時にしっかり対応していれば、全国的な点呼不備の状況をより早期に把握し、是正策を講じることができたかもしれません。
――日本郵便の社長が、6月の株主総会後に交代します。
新社長に就任するのは、近畿支社長の小池信也氏です。近畿支社長といえば、局員からの内部通報を「証拠なし」とした近畿エリアのトップです。本来なら、責任を取って辞任すべきでした。それどころか、小池氏は4月の会見で「法令順守が最重要事項である」と発言しました。現場からすれば「どの口が言ってるのか」というのが率直な思いです。
さらに、日本郵政の新社長に根岸一行氏が就任しますが、小池氏と同じく元郵政官僚です。そういった面では、組織の体質は引き継がれていくと思います。
――現在、点呼はどうなっていますか。
いまはビデオが回っている場所で、各班の班長がアルコール検査を含む点呼を実施し、その後ろで、部長クラスの管理職が確認しています。適正な形になっていると思います。
――郵便局は変わりますか。
変わるだろうし、変わらなければいけないと思っています。私も含め局員一人一人が、「公共インフラを担っている」という自覚と責任を持ち、信頼を取り戻す努力を続けていく必要があります。
(構成/AERA編集部・野村昌二)
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