“筋肉の衰え”を感じたら試してほしい

 牛乳に含まれるたんぱく質は、筋肉にスイッチを入れる種類のものが多く含まれているのが特徴です。少し難しい話になりますが、筋肉をつくるスイッチを入れるのが「分岐鎖アミノ酸」というたんぱく質を構成するアミノ酸です。

 スポーツをされたことがある方なら聞いたことがあるかもしれませんが、「分岐鎖アミノ酸」は「BCAA」といわれ、スポーツドリンクの成分になっています。バリン、ロイシン、イソロイシンという3種のアミノ酸で、これらが理想的な比率(バリン:ロイシン:イソロイシン=1:2:1)で含まれています。

 「BCAA」は、筋肉を成長や修復し、筋肉のエネルギー源となります。そのため、スポーツ選手にとってはなくてはならない成分です。

 筋肉の成長や修復を担っていますが、ハードな運動中や運動後だけに必要なのではありません。中高年にとっては筋力低下の予防や疲労回復にも有効です。

 「外出すると疲れる」「駅の階段がしんどくなってきたな」というのは、筋肉の衰えはじめか、筋肉が疲労しているサインです。そんなときは、「もう年だからダメだ……」と言わずに、「昼牛乳」を毎日コツコツ試してみてください。

「夜牛乳」は骨を強くする

 中高年になると途端に骨折する人が増えてきます。特に女性は更年期を迎え、女性ホルモンの減少によって骨がスカスカになる「骨粗しょう症」に不安を感じる人も少なくありません。そこで欠かせないのがカルシウムです。カルシウムは骨の成分だと思われがちですが、実はカルシウムは骨より血液中に多く存在します。

 カルシウムには、骨や歯を強く健康な状態で維持する役目があります。また筋肉の収縮を助けるため、日常の動作にも欠かせません。ほかにも血液の凝固プロセスとも関係していて、出血を止めるのに欠かせないミネラルの一種。神経細胞の間で信号を伝達する重要な役割もあります。

 このように、多くの役割を担っていて血中で働くカルシウムは、必要量を維持するために、足りなくなると骨から溶け出して血中に補充します。こうして骨は脆くなっていくのです。

 だからこそ補うのがとても大切です。カルシウムは食事から取り入れやすく、特に牛乳は最適です。カルシウムを多く含む上に、体内の吸収率が小魚などよりも高いのは、あまり知られていない事実です。

 そして、吸収に適している時間帯が夜、さらに睡眠中です。「夜牛乳」を飲むことが、骨の強化につながるというわけです。ただし、寝る前に冷えた牛乳を飲むのは胃腸に負担がかかります。ぜひ温めて飲みましょう。ちなみに、牛乳は加熱しても栄養そのものは変化しませんのでご安心ください。

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