また昨年最優秀防御率のタイトルを獲得した高橋宏斗(中日)も交流戦ではそれなりに試合を作ったものの0勝に終わり、本来のピッチングとは程遠い内容だった。村上頌樹(阪神)、東克樹(DeNA)などは力を発揮したと言えるが、交流戦期間中に関して言えばパ・リーグのエースほどの強烈なインパクトを残すことはできていない。エースの圧倒的なピッチングで相手打線の調子を崩すまでに至らなかったという点において、セ・リーグとパ・リーグの差が生まれたと言えそうだ。
そしてもう一つ大きかったのはセ・リーグで過去に交流戦で2度優勝を果たしている巨人とヤクルトの調子が上がらなかったという点である。巨人は先述したように戸郷の調子が上がらず、打線も主砲の岡本和真が怪我で離脱していたこともあって投打がかみ合わない試合が続いた。先々のことを考えて育成選手から昇格したばかりの三塚琉生をいきなりスタメンで起用するなど若手を抜擢するなどして活路を見出そうとしたが、直近の結果には繋がらなかった印象だ。
ヤクルトも主砲の村上宗隆、ショートの長岡秀樹など故障者が続出。慢性的な投手不足も解消の兆しが見られず、交流戦でも最下位に沈んでいる。広島と阪神はそれなりの戦いを見せたものの、巨人とヤクルトの2球団が負け越した分を取り返すほどの強さは感じられなかった。
このような事態が起こるとセ・リーグの弱さがクローズアップされるが、過去5年間を見れば2021年と2022年はセ・リーグが勝ち越しており、2022年はヤクルト、2023年はDeNAが優勝を果たすなど、そこまでパ・リーグが圧倒しているわけではない。パ・リーグのエースたちも近いうちにメジャーに移籍する可能性も高く、そうなればまたパワーバランスも変わってくるのではないだろうか。セ・リーグにも楽しみな若手は出てきているだけに、来年以降の巻き返しに期待したい。
(文・西尾典文)
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