今シーズン中の200勝到達は確実と思われた時期もあったが……(写真:日刊スポーツ)

 今年の投手成績を見ると、「投高打低」が如実に表れている。セ・リーグの規定投球回数に到達した中で防御率1点台の投手が17日時点で8人もいる。高橋宏斗(巨人)がリーグワーストの防御率3.38で3勝6敗だ。セ・リーグの得点数トップの首位の阪神でも、221得点で1試合平均は3.4得点しかない。これらを考えると、各球団は1試合で3失点、先発なら2失点以内に抑えないと白星がなかなかつかない。

厳しいチーム事情、登板機会は?

 岡本和真が左肘靭帯損傷で長期離脱し、1試合の平均得点が3点以下の巨人は投手陣への依存度が高い。先発ローテーションは山崎伊織、グリフィン、赤星優志の3枚が確定。エースの戸郷翔征は2勝5敗、防御率5.22と本来の姿に程遠く、井上温大も最近数試合の投球がピリッとしないがV奪回に向けて復調してもらわなければ困る存在だ。そして、1軍昇格後に2試合連続好投の西舘勇陽が先発の6枚目に。さらに先発と救援のどちらにも対応できる横川凱、堀田賢慎のほか、ファームで安定した投球を続ける又木鉄平が控えている。1か月以上ファームで調整している田中はチーム内の競争を勝ち抜かなければいけないが、その道は容易ではない。

 巨人のチーム状況も厳しくなっている。交流戦で3勝8敗1分と負け越しており、最大6あった貯金を使い切り、借金1。首位・阪神が7連敗、2位・DeNAが5連敗中と同じく下降気味だが、ゲーム差を広げられないためにこれ以上は負けられない。

「首位の阪神に4ゲーム差とまだまだ逆転可能な位置につけていますが、5位・中日が1.5ゲーム差に迫ってきています。負けられない試合が続く中、田中を先発で登板させる余裕はなかなかない。現行のルールだとリーグ優勝を逃したとしてもCS争いがあるので、夏場以降は登板間隔を詰めてエース級の投手をつぎ込みたいのが首脳陣の本音。田中はあと2勝で通算200勝ですが、登板機会がいつ巡ってくるか分からない。大記録達成を見通せる状況ではありません」(スポーツ紙デスク)

 田中は巨人の入団会見で、「(日米通算200勝に)残り3勝だというところをフォーカスされますけども、自分としては3勝で終わる気持ちはありませんし、1つでも多くチームのために勝利に貢献したいと思っています」「競争は激しいと思いますけど、自分自身まだまだできるんだという証明をしたいと思っています」と新天地で復活への思いを語っていた。

 このままでは終われない。リーグ連覇に貢献するために1軍のマウンドを目指す。

(今川秀悟)

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