とはいえなのだ。そんな世界で生き残れた「変な女」である二人が「普通におかしいと思うことを、普通の言葉で、自分の言葉で、率直に語り合う」姿勢に、私は久しぶりに日本の政治を諦めなくていいのではないか、と思えてきたのだ。もう、だめだこりゃ、米もつくれねぇ、子供は生まれねぇ、未来は見えねぇ、政治が悪すぎるわーっ、と絶望する気持ちを、二人になだめられるような思いになったのだった。焦るな、私たちは生き抜いた、まだ生きていくつもりだ、焦るな、と。

 二人は今年65歳。本書のオファーをエンディング・ノートのつもりで受けたというが、私はおばあさんになっていく二人の姿を見ていたいと思った。おばあさんになっていく辻元清美さん、野田聖子さんが育てるだろう若い女性政治家たちの姿を見てみたいと思った。男ばかりでモノゴトを決め、闇の中でモノゴトが決まり、利権でたいていのことが動き、それ故に全方向停滞しつつある今の日本社会を変えるのは、はっきりと、女なのだ。そういう方向での希望を、私たちは持つべきなのではないかと思えてきたのだった。

 そうそう、すごく驚いたのは、辻元さんが、エゴサーチしていることだ。そして普通に傷ついていることである。本当に驚きました。そして、辻元さんの涙のまともさ、傷つきのまともさに感謝したい気持ちになる。辻元さんが生き残り、仕事し続けてきたことに、ありがとうございます。

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