毎月欠かさずレトルトパックごはんを送ったという(写真はイメージ/gettyimage)

 そんなふうに「もし彼女たちが男だったら」……と想像せずにはいられないくらいに、この国の女たちは、政治家に限らず、どの分野であっても、同じ女たちの不遇を目の当たりに生きている。出た杭は打たれるどころか、折られ、抜かれ、土台ごと燃やされるような勢いで。だからこそ、永田町を生き抜いてきた女性二人は政敵にならずに戦友になり、右とか左といった政治的イデオロギーを抜きに誠実に語り合えるのだろう。そういう時間を過ごしてきたのだろう。

 タイトルの『女性議員は「変な女」なのか』からは、軽めのノリにして多くの人に手にとってもらいたいという意図が感じられる。有名な女性政治家二人が、自身の私生活や恋愛観などもさらけ出して語っているような印象を受ける人もいるかもしれない。それでも、私は、これはあまり読んだことのない類いのかなり重たい政治の本だと感じている。

 それは、この本の根底に、女性議員は増やさなければだめなんだ、という痛いほど切実なメッセージが強く込められているからだろう。

 2018年、選挙において男女の候補者数を均等にする努力義務を政党に課した法が成立した。この法成立に奔走した宮川典子議員のことを、野田さんが語っていた。宮川議員は法案を通すための激務のなか、乳がんであることを誰にも告げず、治療を遅らせてしまい法成立後に40歳で亡くなっている。「ひとりの女性が命をかけた法律なんですよ」と野田さんが思いを込めて語っていた。

 政治家になりたくても、女性はそもそも候補者になることが難しい。「ジェンダー平等」とはどの政党も普通に言う時代だが、女性候補者は若さやフレッシュさやクリーンさを求められ、有権者からは女性であることでありとあらゆるハラスメントを受け、たとえ当選しても政治家として育ててもらえるのは稀で、党の意見に絶対逆らえないような人質の心理状態に追いやられ摩耗する。

「(女性候補者は)男の100倍苦労する」と野田さんは言うが、そういう世界でたとえ一度は国会議員になれたとして、残酷に“使い捨てられる”女性議員を、私たちはどれほど見てきたことだろう。「男」並みになるために、死ぬほど努力しなければならない世界なんて、ああ、いやだ、永田町って、いやだ。

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