党首討論で気になったのは、維新の前原共同代表

 たしかに立憲内では、衆参ダブル選挙を招きかねない不信任案の提出に、後ろ向きな意見が強まっている。しかし青山氏のもとには、野田代表の対決姿勢を裏付けるような声も少なからず届いているという。

「野田代表側近の一人は、『不信任案を出す方向性は基本的に変わっていない』と話しています。小川淳也幹事長も強気ですし、『野党第一党なのに不信任案を出さなかったら、どうやって選挙を戦うんだ』という見方は根強い」

 ただ、立憲の不信任案提出に向けては、日本維新の会や国民民主党が賛成に回るか否かも重要なカギとなる。ほかの野党が不信任案に距離をおけば、立憲だけが悪者扱いになる可能性もあるからだ。青山氏は、他党も不信任案に乗ってくる可能性はあるとみるが、党首討論を見ていて気になったのが、維新の前原誠司共同代表の様子だ。

 今国会で審議が続く年金制度改革法案についての追及を、「我々責任も負いますので、~中略~もういっぺんこういったことをお互い議論しようじゃありませんか」という呼びかけで結んだ前原共同代表。これに対し石破首相は、「議論の場を作るために、引き続き、どうぞいろんなご提案を賜りたいと思います。よろしくお願い申し上げます」と応じた。

 青山氏はこの姿に、維新と政権の距離の近さを再認識したという。

「立憲や国民民主と比べると、維新の追及は手ぬるく感じます。3月に自民・公明・維新が賛成して本予算を成立させた流れで、今後も自分たちの主張を取り入れてもらうために、良好な関係を続けたいという思惑が透けていました。そもそも前原共同代表と石破首相は個人的に仲がよく、維新の吉村洋文代表も政府と協力して大阪・関西万博を進めてきた経緯がある。不信任案への対応は、読み切れないところがあります」

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