6月10日の山尾氏の会見は2時間半にも及んだ(日刊スポーツ)

「山尾さんのために集まったような感じだね」

 山尾氏は自らのXに6月4日に次のようにポストしている。

〈60人以上集まった2009年当選同期会。私の再挑戦の件も、同期の仲間という一点で、本当にあたたかい励ましをもらいました〉

「昔の仲間が選挙に出るというなら『頑張って』と激励はしますよ。ただ私だけではなく、参加した何人ものメンバーがこれを見て、『なんか山尾さんのためにわざわざ集まったような感じだね』と言っていました。参院選の全国比例なんだから、どこからでも山尾さんを応援できるのに、損な性格は変わらない。昔から、自分大好きでまわりが見えない山尾さんらしいなと」(Bさん)

 山尾氏の「まわりが見えない」行動はほかにもあった。

 6月上旬、東京都議選に国民民主党から出馬する候補の陣営に、山尾氏から「ご挨拶にうかがいたい」という趣旨の話があったという。陣営関係者が言う。

「山尾氏が事務所にきたことがオープンになれば、票が減るのは目に見えている。うちだけでなく、他の候補のところにも同様の連絡がきたそうです。どうしたものかと困りました」

「自分から身を引くべきでした」

 山尾氏は6月8日には、参院選のために、

〈事務所をオープンしました〉

 とポストしたが、事前の告知はなかったためメディア報道はなかった。先のBさんはこう話した。

「選挙事務所を設置するなら、党からメディアへ事前に告知するなり、党幹部が支援者にご挨拶にうかがうなど、なんらかの対応をふつうはしますよ。いきなりSNSで事務所を開いたと知った人が大半でした。実は国民民主党内では、超ド級の山尾ショックに『公認を取り消すべき』という声が少なからずあった。山尾氏もそんな空気を察知したのでしょう。都議選の候補者に働きかけたり、SNSで自ら発信したり、既成事実を作っていった。出馬取り消しなんてことにならないようにとの作戦だったのでしょう。でも、これだけ支持率が落ちたんだから自分から身を引くべきでした」

 会見で山尾氏は、自らの出馬で国民民主党の支持率が落ちたことについて聞かれて、こう答えていた。

「自分に一因があるんだろうと思う。国民民主党の議員、党員、サポーターが、一生懸命ここまでやってきた。そういう中で、私の出馬の報道が水をかけてしまった面がある。本当に申し訳なく思っています。そのあと、自分にできることはなんだろうと考えた時、少しでも不安をやわらげることができたらと。今日の会見は、そんな思いもあります」

 だが、説明しない会見で、批判はむしろ増幅した。山尾氏にとっては出馬のための会見だったが、公認取り消しの決め手となってしまった。

(編集部・今西憲之)

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