夜になると「コロシアム」が浮かび上がるイタリアパビリオン=米倉昭仁撮影

 このパビリオンでは飲食店や物販店を含め約70人の「混成チーム」が働いている。本国から日本にやってきたスタッフに加え、日本の人材派遣会社の募集で働いているスタッフもいる。当然、雇用契約書には勤務時間についても記されている。

 このディレクターは、「BIE(博覧会国際事務職)レベルや、日本の万博関係者の間で営業時間延長について話し合われたことは承知している」と言う。だが、実現するには、パビリオンで働くスタッフ全員の合意や、人材派遣会社との契約見直しが必要になる。

「『夜の万博を楽しみたい』という来場者の声も、慎重な万博協会の姿勢も理解できます。けれども、簡単な話ではありません。より深い議論も、多くの人々の協力も必要です」(欧州のパビリオンのディレクター)

終日、長い待ち行列が絶えないアメリカパビリオン=米倉昭仁撮影

 アメリカパビリオンもスタッフの帰宅や雇用条件の問題を指摘するが、「まだ検討にはいたっていません」(同館の広報担当者)と話す。

「現時点ではパビリオンの営業時間を変更する予定はありません」(スイスパビリオン)という回答もあったが、他のパビリオンは、「営業時間の延長案について、万博協会から正式な連絡を受けておりません。今後の検討・分析を経て、対応させていただきます」(ルクセンブルクパビリオン、チェコパビリオンなど)という回答だった。


 開幕当初、万博の来場者数は伸び悩みが指摘され、1日平均10万人を下回っていたが、ポジティブな反響が増え、記者が訪れた6月上旬の週末は1日約16万人だ。人気パビリオンの入場待ち行列は長く延び、通行の妨げになるほど混雑していた。

 来場者が多くなれば、どうしても待ち時間の問題が付きまとう。会期中、来場者が少しでもゆったりと万博を楽しめるようになることを切に祈る。

ミャクミャクも大人気。パビリオンまわりのお供にする人も=米倉昭仁撮影

(AERA編集部・米倉昭仁)

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