
同館では50~60人のスタッフが働いている。
「1時間半ほどかけて京都から通勤しているスタッフもいます」(北欧館の広報担当者)
商品などの搬入作業があるため、スタッフは遅くとも午前7時半までに全員が出勤する。来場者の案内をするフロアスタッフは2交代制で勤務している。
午後9時の閉館後、フロアスタッフは退勤するが、それ以外の運営スタッフやレストランの仕込みを行うスタッフは翌日のイベントなどの準備に追われる。大阪駅周辺に仮住まいをしている人が多いが、帰り着くのはいつも午後11時ごろだという。
「1時間、営業時間を延長すれば、朝6時に家を出て帰宅は深夜12時。北欧では考えられない働き方になってしまう」(同)

帰宅は地下鉄が頼りだ。
ちなみに、会場最寄りの夢洲(ゆめしま)駅の終電は午前0時20分。大阪メトロによると、「主に会場スタッフを輸送する目的で」、イベント開催時には終電の時刻を20分繰り下げているという。営業が1時間延長されれば、それにも間に合わないスタッフが出てくる恐れがある。
「さらなる終電時間の繰り下げや、スタッフを送る深夜バスを手配するなどしないと無理でしょう」(北欧館の広報担当者)
最大の課題は人件費だ。原則、各パビリオンの営業時間は午前9時から午後9時までの12時間。北欧館でもこれに合わせて予算を組み、スタッフを雇い、配置している。
「営業を1時間延長すれば、フロアスタッフはおそらく3交代制にすることになるでしょうから、人員を増やす必要が出てきます。その費用をどう捻出するか」(同)
運営予算に多少の弾力性はあるが、「人件費は予備費でまかなえるような金額ではない」という。
「その追加費用をどこが負担するのかがクリアにならないかぎり、営業時間の延長は難しいでしょう」(同)
雇用契約の見直しは大変
「飲食店と物販店だけなら、営業終了時間を10時にするのは可能だと思います」
と語るのは、欧州のある人気パビリオンのディレクターだ。だが、「パビリオン全体の営業時間を延長するのは難しい」と話す。