
α世代を夢中にさせているインフルエンサーのしなこさんも、かつては「日常の延長」としてSNSを楽しむ一人でした。大学生活も終盤にさしかかったある日、周りの友人たちが必死に就活に取り組む姿を見て、「自分も同じ熱量でインフルエンサーという職業に向き合う」と決意します。まずはじめたことは、すべてのSNSアプリをインストールし、毎日投稿すること。右肩上がりにフォロワーは増えていたものの、「壁」にぶつかりました。(全2回の2回目/前編から続く)
【写真】 蜷川実花が撮った!これ以上ないポップなAERA表紙を飾ったしなこさん
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<TikTokの利用者数に合わせて、フォロワー数も伸びに伸びた。だが、3年ほどして停滞を感じるようになる>
私は誰かと比べたくなかったし、自分のペースで頑張りたいと思っていました。ただ、そのときは事務所に入っていたので、どうしても周りと比べられてしまうんです。ビジネスなので当たり前だけど、悔しくていつもアイスを片手に、とぼとぼと泣きながら帰っていました(笑)。今でもその道を通ると、泣きそうになるんです。
私の「武器」で上にいく
「フォロワー数の何がえらいねん」ってツンと思っちゃった瞬間もありました。でも、冷静に考えたら、それだけ誰かの心を動かしてるってことなので、「そりゃえらいな」って。自分のペースで自分らしくやればいいと思ってたけど、私の見たい景色を見るためには、もっと上にいかないといけないって気づけた。その悔しさにも意味があったなって思っています。
<再び試行錯誤する日々がはじまった。だが、背伸びをしたり、こびるために自分を偽ったりはしなかった>
そのとき目標にしていたのは、「ファンの子がたくさん目の前にいるイベントができる存在になりたい」ということ。事務所のイベントがあっても出させてもらえなかったり、楽屋にすら入れてもらえなかったりした時期がありました。私よりフォロワーが少なくても、事務所のお気に入りの子は楽屋にいたりもして。理不尽だと感じる一方で、しょうがないと思う自分もいました。その子の武器は愛嬌だったり、上の人とうまくやれたりすること。でも、私の武器はそれじゃなかった。私は私の戦い方で上にいこうと思ったんです。