復活の兆しを見せている中日・涌井、ストレートの威力は健在だ(写真提供・日刊スポーツ)
復活の兆しを見せている中日・涌井、ストレートの威力は健在だ(写真提供・日刊スポーツ)
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 セ・パ交流戦に突入した今年のプロ野球。華々しくデビューしたルーキーや、期待の新星に注目が集まるが、その一方で完全な主力とは言えないまでも、渋い活躍を見せているベテラン選手がいるのも事実だ。今回はそんなあまり話題にはならないものの、密かに復活傾向にある選手にスポットライトを当てたいと思う(成績は6月1日終了時点)。

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 先発投手でまず名前を挙げたいのが涌井秀章(中日)だ。2022年オフに阿部寿樹との交換トレードで楽天から加入したが、昨年までの2年間は合計8勝18敗と大きく負け越す結果に終わっている。今年も開幕一軍入りを逃すなど苦しいスタートとなったものの、二軍で結果を残して4月下旬には一軍に昇格。今季初登板となった4月29日の阪神戦では6回を1失点の好投で初勝利をマークすると、その後の3試合も6回以上を投げ切り、自責点は3以内というクォリティースタートを達成するなど、先発投手としての役割を見事に果たしているのだ。

 5月24日には調整のために一度登録抹消され、交流戦の開幕戦となった6月3日のソフトバンク戦では5回途中4失点で負け投手となったものの、ここまで29イニング投げて防御率2.48という成績は立派である。6月21日で39歳となるが、ストレートはまだまだ140キロ台後半をマークするなどボールの力は十分で、高い制球力で強気に内角を攻める姿勢も健在。この状態を維持することができれば、2年ぶりの100イニング登板も期待できそうだ。

 リリーフ投手では石山泰稚(ヤクルト)と中崎翔太(広島)が見事な復活を遂げている。石山は長く中継ぎ、抑えとして活躍してきたが、過去2年間はいずれも防御率4点台と低迷。しかし今年は開幕から8試合連続で1イニングを三者凡退に抑え、11試合連続無失点と抜群のピッチングを見せると、5月7日の広島戦では2本のホームランを浴びて負け投手となったものの、その後も5試合連続で無失点と好調を維持しているのだ。17試合、16回1/3を投げてWHIP(1イニングあたりの被安打プラス与四球)が0.49というのは見事という他ない。チームが交流戦前の時点でわずか14勝にもかかわらず、石山が10セーブをマークしているというところにも貢献度の高さがよく表れている。苦しいチームの中でも数少ない明るい材料であり、今後も抑えとして期待がかかる。

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