中崎も抑えとして2016年からのチームのセ・リーグ三連覇に大きく貢献したが、それ以降は故障もあって低迷。2020年からは栗林良吏にクローザーの座を譲っている。ただ今年は開幕から17試合に登板して15試合で無失点と見事な安定感を見せているのだ。リードしている場面での登板は多くないものの、ハーン、栗林の勝ちパターンの2人が開幕から不安定な投球が多いだけに、今後は重要な場面を任される可能性もありそうだ。
パ・リーグの投手で大きな戦力となっているのが加治屋蓮(楽天)だ。ソフトバンクでは2018年にリーグトップの72試合に登板して4勝、31ホールドをマーク。阪神に移籍した後の2023年も51試合に登板するなど、チームの日本一に貢献した。昨年は調子を落として自身2度目の自由契約となり楽天に移籍したが、4月10日に一軍昇格を果たすと、ここまで20試合に登板して18試合が無失点で、1勝、7ホールドをマークするなどブルペンに欠かせない存在となっている。フォークはブレーキ十分で必殺の決め球となっており、大きく変化するカーブも絶妙なアクセントになっている印象だ。これまでもコンディションさえ万全なら結果を残してきただけに、何とかこの状態を維持してもらいたいところだ。
野手は投手に比べると目立つ選手が少ないが、その中で復活の兆しを見せているのが中村晃(ソフトバンク)だ。2014年には176安打を放って最多安打のタイトルを獲得するなど常勝軍団の中軸として活躍してきたが、2019年に自律神経失調症を患うと、その後は怪我もあって低迷。昨年も101試合に出場したものの、代打での起用が大半で40安打、0本塁打、打率.221という成績に終わっている。今年も開幕3連戦は代打で1打席に立っただけだったが、チームに故障者が相次いだこともあって4月からはスタメン出場が増加。ここまでチームトップとなる45安打を放ち、打率.271としっかり結果を残している。以前に比べると少し長打は減っているものの、ミート力はまだまだ健在で、出塁率の高さも光る。チームはまだまだ故障による離脱者が多いだけに、今後もそのバットにかかる期待は大きい。
冒頭でも触れたようにどうしても新しい顔ぶれに注目が集まるが、一度苦しい立場となった“元主力”の選手の復活に勇気づけられるファンも多いはずだ。今後も今回取り上げた選手たちの更なる活躍に期待したい。
(文・西尾典文)
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