イラスト:サヲリブラウン

 10年前。ラジオでしゃべる仕事を始めてから、咽頭炎を複数回患いました。そして前回の鼻炎。今回の耳。私は疲れや加齢によるゆらぎが耳鼻咽喉科管轄の部位に出がちなのでしょう。耳鼻咽喉科なんて、40歳を過ぎるまでほとんどお世話になったことがなかったのに!

 そうそう、今回は耳鼻咽喉科の待合室で時代の変化を感じました。お子さんの患者さんが多いなか、付き添いのほとんどが父親でした。日曜日だったのもあるでしょうが、「子どもの世話はお母さん」が当たり前だった、私の子ども時代には見られない光景。

 どのお父さんもお子さんを病院に連れてくることに手慣れており、抵抗もなさそう。診察までの進め方がわからなかったり、お子さんがぐずったりでイライラする父親の姿は皆無。威圧的な人もおらず、非常に柔和。私が知らなかっただけで平成末期から見られた光景だったのだろうとは思いつつ、これが令和のスタンダードなのだと感心しました。

 昭和のお父さんたちは、こうはいかなかったでしょう。「男たるもの」の沽券に囚われ、子どもを病院に連れていくのを渋ったり、連れていっても勝手がわからず不機嫌になったりしかねない。

 あれも時代と男性にかかる社会圧のせいで、個人の資質の問題ではなかったのでしょうね。

AERA 2025年6月9日号

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