今年の新米が高値で買い付けられている

 ただ今回、コメの「リーズナブルな価格」をどうしても実現できなくなり、同社はカルローズ米に頼ることにした。この判断に、鈴木特任教授は冷ややかなまなざしを送る。 

「国産の農作物が少なくなると卸売市場は困るけれど、大手小売りは不足分を輸入で補えばいくらでも商売ができる。このような“今だけ自分だけ”のビジネスは、果たして持続可能と言えるのでしょうか」 

 同社はカルローズ米の販売時期について、「新米が出回る秋ごろまで」としている。だが市場の動きを見る限り、秋にコメ価格が落ち着く見通しは立たない。鈴木特任教授によると、今年の新米は既に高値で買い付けられており、店頭での販売価格は、現状「高すぎる」と悲鳴があがる5キロあたり4000円以上になる見込みだ。 

「新たに農林水産相に就いた小泉進次郎氏は、政府備蓄米を5キロ1800円程度で流通させるための緊急施策を進めています。でも卸売業者たちは、備蓄米にコメ不足を根本的に解消するほどの効果はないと踏んでいるからこそ、新米を高額で契約している。大豊作のようなイレギュラーが起きない限り、高騰の背景にあるコメ不足は解消されず、価格も落ち着かないと思います」 

 イオン広報担当者に、秋になってもコメ高騰が収まらない場合の対応を尋ねると、「お客様のニーズに応えるのが小売業の使命。カルローズ米の販売期間延長もふくめ、様々な選択肢を検討します」と返ってきた。 

 カルローズ米が日本の食卓のスタンダードになる前に、“令和の米騒動”は収束するだろうか。 

(AERA編集部・大谷百合絵) 

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