
イオンが6月6日から順次、米カリフォルニア産の“カルローズ米”を販売する。コメ価格高騰を受けての対応だというが、日本を代表する大手小売りが安価な輸入米を流通させることは、国内の農家にダメージを与え、中長期的には国産米の高騰を助長する恐れもある。専門家に読み解いてもらった。
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今回イオンが発売するのは、カルローズ米を100%使用した新商品「かろやか」。価格は4キロあたり税込み2894円で、5キロ換算すると約3620円。5月12~18日に全国のスーパーで販売されたコメ5キロあたりの平均価格(税込み)が4285円と過去最高値を叩き出す中、手に取りやすい価格となっている。
中粒種であるカルローズ米は、長粒種のインディカ米と比べてパサパサ感が少なく、日本人にも比較的受け入れやすいとされる。同社は4月に米国産と国産のブレンド米を発売したところ、「日本のお米と遜色(そんしょく)ない」と好評だったため、米国産でもニーズがあると確信。カルローズ米単独での販売に踏み切った。
とはいえ、国産米の代替品ではなく「新たな食の選択肢」として、ピラフやライスサラダなどカルローズ米に適した食べ方を提案していくという。
「我々としても、日本の農業を大切にしたい気持ちはあります。『かろやか』を販売するのは、コメの需給がひっ迫している都市部を中心とした約600店舗の予定です」(同社広報部)
カルローズ米を取り扱うのは、あくまでもコメ価格高騰を受けた時限的措置だという。だが、農業経済学に詳しい東京大学大学院の鈴木宣弘特任教授は、同社のカルローズ米販売について、「日本の農業にとってのインパクトは少なからずある」とみる。