Yogiboのビーズソファで昼寝をする、さとえ学園小学校の児童

 朝が早いなら、夜早めに寝れば、十分な睡眠時間を確保できるのでは?と思うかもしれないが、志村さんは「早寝には限界がある」と話す。

「夜8~10時は“睡眠禁止ゾーン”と呼ばれ、脳波は最も入眠しづらい状態にあります。さらに思春期は、人生のなかで体内時計が最も夜型化する年代なので、早寝早起きは生理学的に無理があるんです」

ティーンエイジャーが8時前に目覚めるのは難しい

 米国小児科学会は14年、中学校や高校に向けてこんな声明を出した。

「多くのティーンエイジャーにとって、夜11時前に眠り、朝8時前に目覚めるのは難しい。生徒の十分な睡眠時間を確保するため、始業時間は8時半以降にすべきだ」

 最新の睡眠研究を踏まえ、米国、英国、シンガポール、韓国など、海外では始業時間を遅らせる取り組みが広がっている。英国で4年間にわたり13~16歳の生徒2049人を対象に行った研究では、始業時間を8時50分から10時に遅らせると、成績でGoodの評価を受けた生徒が12%増え、病欠が55%減ったという。

「子どもに昼寝をさせなければならないような睡眠時間を強いている、日本の学校カリキュラムをどうにかしたい。世界平均と比べて通学に時間がかかることなどを考えると、理想の始業時間は10時です」

 これまでの常識をかなぐり捨て、“遅寝遅起き”を試してみる価値はありそうだ。

(AERA編集部・大谷百合絵)

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