仮眠ボックス「giraffenap」の中に入る、さとえ学園小学校の児童

 厚生労働省は子どもの睡眠時間について、小学生は9~12時間、中高生は8~10時間を推奨している。しかし、東京大学大学院と理化学研究所の共同研究チームが2022年から行う「子ども睡眠健診プロジェクト」で、小学生から高校生まで約1万2000人を調べると、ほとんどの子どもが推奨睡眠時間を確保できていなかった。平日の平均睡眠時間は、小学生が8時間、中学生が7時間、高校生が6時間前後だったという。

家が遠く、5時台に起きる子も…

 志村さんは、日本の子どもの寝不足傾向について「世界的に見て就寝時間が特別遅いわけではないが、起床時間が早すぎる」と言う。どういうことなのか。

 日本の学校は、1時間目のスタートは諸外国と変わらず朝8時半~9時ごろだが、授業前にホームルームの時間が設けられるケースが多く、さらにその前に「朝課外」「ゼロ限目」などと呼ばれる学習活動や、部活の「朝練」がある場合もある。そのため7時台に登校しなければならない子どもも少なからずいるのが現状だ。

 通学時間が長いのも、日本ならでは。都市部の人気校には遠方からも生徒が集まり、小中学生でも電車やバスに乗って1時間以上かけて登校する子は珍しくない。冒頭で紹介したさとえ学園小は、登校時間が8時50分、始業時間が9時半と遅めだが、取材した9人の児童のうち4人が6時台、3人が5時台に起床していた。早起きの理由を聞くと、「家が遠いから」と口をそろえていた。

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