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 ブルゴーニュの田舎に暮らす80歳のミシェル(エレーヌ・ヴァンサン)のもとを娘ヴァレリー(リュディヴィーヌ・サニエ)と孫ルカが休暇で訪れる。久しぶりの再会を喜ぶミシェルは森で採ったキノコ料理を振る舞うが、それが思わぬ事態を引き起こし──?「秋が来るとき」出演のリュディヴィーヌ・サニエさんに本作の見どころを聞いた。

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 フランソワ・オゾン監督との出会いは私が21歳のとき出演した「焼け石に水」(2000年)です。その後「8人の女たち」(02年)、「スイミング・プール」(03年)を経て本作で22年ぶりに監督と再会しました。主人公は80歳のミシェルで私は彼女に複雑な感情を抱く娘ヴァレリーを演じています。日本の状況はわかりませんがフランス映画界では70〜80代の女性はまだまだ「脇役」で「お菓子を作って孫を可愛がる」ステレオタイプの祖母像で描かれることが多いです。でも本作でオゾン監督は年配の女性を主人公に複雑な内面を描写しました。とても先進的なことだと思います。監督は表立ってフェミニスト的な発言はしませんが、映画を通して女性たちに貢献していると思います。

 私自身も母や祖母との関係に問題を抱えていた時期がありました。それに私には3人の娘がいます。ヴァレリーを演じるにあたって、母と娘の関係性に共鳴する部分がありました。私と母の関係は幸いもう少し平和的でしたが、本作が描く母娘関係は多くの人に共鳴してもらえると思います。「親を許したとき、人は大人になる」という格言がありますが、正しいと私も思います。本作のヴァレリーは自身も母親でありながら、まだ自分の母を許せていない。ある意味で大人になりきれていないのです。

リュディヴィーヌ・サニエ(俳優)Ludivine Sagnier/1979年、フランス生まれ。代表作にフランソワ・オゾン監督の「焼け石に水」(2000年)、「スイミング・プール」(03年)など。30日から全国順次公開(写真/横関一浩)

 いまフランス映画界では大作に携わる女性監督の数が増え、女性の描かれ方も変化してきていると感じます。ただ、いまだにエイジズムに縛られ整形などをする人もいます。でもオゾン監督は本作でナチュラルな女優たちを起用しました。その年代ならではの自然な美しさに敬意を払ってくれていると思います。この状況が続けば私も今後20年は希望を持って俳優を続けていられると思います(笑)。

(取材/文・中村千晶)

AERA 2025年6月2日号

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