クオリティメディアを支える運用型広告の仕組みを考える
その長澤は現在71歳。長澤は最後の仕事として、なんとしても、デジタルの世界でも広告がクオリティメディアを支える方法がないかと模索している。
「従来の運用型広告は、どこに広告がでるか広告主にもまったくわからない。紙やテレビのように、中身によって広告が配信される仕組みを普及する、そうすれば、今苦しんでいる旧メディアも今一度クオリティメディアとして蘇る」
長澤が事務局長をつとめる「クオリティメディアコンソーシアム」は朝日新聞、文藝春秋など32社のメディアが共同してつくっている。この32社のウェブ媒体に、広告主が広告を流す仕組みをもっている。たとえば、朝日新聞デジタルと文春オンラインと指定して広告を流すことができる。
長澤は、中身に即した広告のほうが購読にむすびつくチャンスが多いという資料もつくっているが、しかし、なかなか浸透はしないようだ。
広告単価も、従来の運用型広告と変わらない値段になっている。それは、広告主が、まだどんなサイトにでもばらまかれたほうが効果があると思っているということの証左だが、長澤はこう言う。
「私は新聞局時代、ジャーナリズムを一緒につくっているという熱い思いがありました。ネットの世界でも、そうしたクオリティジャーナリズムを支えるような広告システムをなんとしても普及させたいのです」
※AERA 2025年6月2日号
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