
延長タイブレーク、球数制限、クーリングタイム、新基準の金属バットなど近年多くの改革を行っている高校野球。そして現在大きな議論となっているのが7イニング制の導入検討だ。既に秋に行われている国民スポーツ大会では今年から7イニング制の導入が決定されており、現場では公式戦もそれに続くのではないかという声も多い。
ただ気になるのは、それが何を目的に導入されようとしているかが明らかになっていないことだ。近年の夏の暑さはたしかに大変なものであり、選手の健康面を考えてというのは一つの理由である。しかしそれであれば春や秋の大会は9イニングのままでも問題ないとなるが、そういう議論になっているという声は聞こえてこない。
一方で高校野球の運営に携わっている教員の働き方改革という側面や、運営側がこのまま続けていくのは難しいという話もあるものの、具体的に何がどう問題で、それが7イニング制を導入したことによって解決するというのも不透明なままである。
そして、7イニング制の導入よりも前に、見直すべきところは他にもあるのではないだろうか。
毎年更新されている公認野球規則にも「高校野球特別規則」というものがあるように、高校野球には他のカテゴリーにはない独自ルールがあるが、その中にも疑問を感じるものは少なくない。
代表的なものに、試合中監督はベンチを出て審判に抗議をすることができないというものがある。何かおかしなプレーや判定があった場合は、監督が選手にそれを伝えてあくまでも質問するという形がとられているのだ。監督の主張と審判の回答がかみ合わず、選手がその間を何度も行き来するというのは高校野球ではよく見られるシーンである。
もともとは監督の行き過ぎた抗議があり、試合進行の妨げになったことから現在のような形がとられるようになったとのことだが、今のやり方によって逆に試合進行が遅れているケースも少なくない。また高校野球の審判はプロではなく、明らかにミスと見られるジャッジや判断が多いことを考えても、それに対して抗議ができないというのはおかしい話である。大学野球ではビデオによるリプレイ検証を導入している連盟も出てきており、高校野球でもそういった取り組みと同時に、多くの人が納得のいく形で試合が進められるやり方を考えていくべきだろう。