
「右」や「左」というラベリングは好きではない
――擁立報道後にはこうした過去の発信を挙げ、保守層からの猛烈な反発がありました。SNS上の匿名アカウントだけでなく、複数の自民党現職国会議員からも強い批判がありました。どのように受け止めていましたか。
過去の発信が不適切だったこと、そして過去に自民党の政策を批判していた人物であることを挙げ、自民党から出馬するのはおかしいという批判は理解できますし、正当な問いだと思います。だからこそ応答する責任も私にあり、騒動のあとにnoteに考えをまとめました。
一方、社会が急速に変化し、国家間の関係性も変わり、家族のあり方も人生の歩み方も多様になっていくなかで、10年後も20年後も意見や立場が変わらないというものではないと思います。個別の反応に対して何か、ということはありませんが、自分自身は今後、過去に自分や自分の近しい人を批判した人と接するとき、関係を拒絶するのではなく、なぜ今こう思うに至ったのか、それを聞く余白を残せる人でありたいと思っています。
同時に、今回私は出馬しませんが、過去の発言に対する応答責任は、自分が思っていたよりも重視しなければいけないのだろうなと感じています。
――騒動の後、自身のnoteには<もともと私は、まだまだ狭い視野からの「左寄り」の思考・思想を持っていたことは否めません>と書いていました。過去の政治的なスタンスから「変容」したのでしょうか。
うーん、よりプロセスが見えるようになった、ということでしょうか。先ほどの「100点は取れなくても」という話にも近いですが、実行される政策にすべて賛同・納得できるわけではなくても、あのときにこの政党はこう考え、議論がなされ、国益やひとりひとりの国民のための落としどころがここだったんだろうなと、論理的に理解することができるようにはなったと思います。
――保守層からの批判と同時に、リベラルの側からも失望の声があったと思います。
ありましたね。私自身は右とか左とかそういうラベリング自体好きではないし、出演していたニュース番組を「左」だと思って出ていたこともありません。コメンテーターとして出演する際に意見の制限をされたことは全くなく、私自身は保守とかリベラルという対立にかき消されてしまいがちなエビデンスや現場の声をお茶の間に届けることが役割だと思っていました。
ただ、「失望した」「期待していたのに裏切られた」という反応は多かったように思います。特に、うちは実家が筋金入りの反自民なので、父の反応はかなりエキストリームでしたね。