※写真はイメージです。本文とは関係ありません(gettyimages)

 とはいえ、ななみさん。

「人間的成長」とはなんでしょうか。これはなかなかやっかいな言葉のような気がします。

 特に今は、幼稚園児と小学生の子供の世話に手一杯で、「人間的成長」なんて考えている余裕も時間もないんじゃないでしょうか。

 ななみさんは、「家庭的な奥さんになるのが夢」だったのですね。で、「夫もずっと専業主婦でいていいよ」と言ってくれているのですね。

 では、「家庭的な奥さん」の「人間的成長」とはなんでしょうか。「専業主婦」の「人間的成長」とはなんでしょうか。

 働いていると、「成長」の一応の目安がありますね。給料が上がるとか、新たな役職につくとか、資格を取るとか。でも、それが「人間的成長」かどうかは、厳密に考えると分かりませんよね。

 だって、お金はすっごく稼いでいるけど、人間としては、本当に嫌な奴で弱者への思いやりなんか少しもない、なんて人もいるでしょうからね。それは「経済的成長」であっても、「人間的成長」とは思えませんよね。

 ななみさん。二人の子供達の世話は、まだまだ大変でしょう。

 でも、子供が生まれた時から2歳ぐらいまでの混乱、二人目が生まれてからの戦場のような忙しさを思い出すと、今は、子供への接し方は、変わったんじゃないでしょうか。

 もし、子育てに関するさまざまな発見、「子供のなだめ方」「自分の怒りのしずめ方」「有効な時間の使い方」「効果的な調理の方法」「子供とのコミュニケーションの方法」「上手なお金のやりくり」などを見つけているとしたら、ななみさんは、専業主婦として「人間的成長」を遂げていると僕は思います。

 逆に言えば、子供が生まれてからの間、ずっと「同じやり方」「同じ怒り方」「同じ接し方」をしていたのなら、「人間的成長」はなかったということです。「十年一日のように、同じグチを続ける」なんていうのは、「人間的成長」から遠い結果ですね。

次のページ