東京大学の赤門(photo 写真映像部)
東京大学の赤門(photo 写真映像部)

「欧米の名門大学は経済界や個人からの莫大な寄付に支えられています。それに比べて東大に対する社会からの投資はまだまだ少ないのが現状です。より多額の民間の協力が得られれば、それに比例して世界の中での東大の存在感やランキングも上がるのは過去に実証済みです」

 大学を取り巻く環境は世界でも揺れ動いている。米国では、反ユダヤ主義対策を理由に学生の取り締まり強化などを要求してきたトランプ政権に対し、ハーバード大が受け入れを拒否。これを受け、トランプ政権は助成金の一部凍結に踏み切った。ハーバード大は、トランプ政権に対して助成金凍結の取り消しを求める訴えを連邦地方裁判所に起こしている。

 鈴木さんは言う。

「日本の大学が国際競争力を高めるうえで、トランプ大統領が米国で『大学いじめ』をしている今はチャンスとも言えます。ノーベル賞を受賞したスター研究者をスカウトできる可能性が高まっているからです。ただ、こういう時に機動的に動くためにも、いつでも即断即決できる人件費のストックが不可欠なのです」

 世界は優秀な研究者と学生の人材獲得をめぐる競争の場と化している。日本の大学も勝ち抜かなければならない。その先陣を切るのは東大の役割だろう。

(AERA編集部・渡辺 豪)

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