
現代日本に生きる女性たちは、いま、何を考え、感じ、何と向き合っているのか――。モテるバンドマンとの関係を続けるみつさんの話は続きます(全2回の2回目)。
【写真】「妻は私で3人目」「はじめは不倫」 だったと語る女性
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前妻の子どもたちとも交流
出会いから20年ほど経ち、前妻たちの子ども3人はみな成人して、今では孫もいる。驚いたことに、みつさん(40代後半/仮名)は子どもたちとも交流していた。
「出会ったころに生まれた子は、ギターをやっているので、ライブがあったときに見に行きましたね。小さいときから写真を見ていたし、話も聞いていたから、『あのときの子がもう21歳かあ』みたいな感じ。最初の奥さんの子どもからは、結婚式に呼ばれて参列しました」
父親を奪った女性として、子どもたちから恨まれても不思議ではないが、みつさんはそういうことになっていない。むしろ良好といえる関係を築いている。
「家庭を壊したつもりはないんですよ。2番目の奥さんも、夫婦関係が冷えきっているときに子どもが生まれていますから。夫談、ですけれど……。一見すると関係性が複雑だし『どうしてそこで仲良くできるの?』って思うかもしれないけれど、私は気にならない。血はつながっていなくても愛しい存在です」
社員になったことはなくても
みつさんの、この独特の柔軟さは、社会生活にも表れていた。
「私はアルバイト人生なんですよ。ちゃんと社員になったことがなくて」
喫茶デリバリーのバイトを長く続けていたという。大手企業のオフィスに入った喫茶店で、会議室にコーヒーを持って行く仕事だ。しかし、コロナ禍でリモートワークに切り替わり、事業そのものがなくなったらしい。現在は、ソープランドで清掃業務のバイトをしている。
「募集要項には『部屋の清掃』と書いてあったんですけど、面接に行ったらソープランドで、タオルやシーツを補充するお仕事でした。それも面白そうだなって。場所が場所だけに、声とか聞こえてくるんですよ」
みつさんは、笑いながら言う。
国民健康保険に入っていない
とはいえ、金銭的なゆとりがあるわけではないようだ。
「ここ3年くらい、国民健康保険に入っていないんです。前のバイトで入っていた社会保険を抜けて、今は放置している状態。私は健康体なので、医者にかかるとしても歯医者くらいだし、特に病院へ行かないのに国保に入るのもなあと思って。高いじゃないですか」