多くの生徒・学生が「違反者」に

 テレビ画面の中で多くのキャスターは「これからはこうなります」と、淡々と進行するばかりだった。その後どうなるかがまるでない。このあたり、私は本当に不思議なんだが、普通の想像力を働かせれば、こんなのが有名無実に陥るのはすぐに分かるだろう。

 たとえば反則金3000円の「並んで走る行為」。地方の高校生なんかがよくやってて、迷惑といえば迷惑だが(法律でも自転車の並進は違反)、これを全部取り締まるの? と思う。

反則金5000円の「車間距離不保持」などは、高校や大学の自転車部なんて全員違反だ。人気マンガ『弱虫ペダル』の登場人物たちももれなく反則金。ことさらに113項目に挙げることが必要だろうか、これ。

警察庁「自転車をはじめとする軽車両の反則行為と反則金の額」より編集部作成(プレジデントオンライン提供)

歩道を走る自転車を全て取り締まる?

 一番の疑問点は、反則金6000円の歩道走行だ。

 たしかに法律上は「自転車は車道が原則、歩道は例外」ということが決まっている。また歩道はその例外規定においても徐行(時速7.5キロ以下)となっている。

 しかしだ。現状は、誰もが知ってるとおり、ほぼすべてのママチャリが歩道を走っているし、徐行なんて誰も守っちゃいない。ということは、全員、青切符の対象なのだ。

 これをどう取り締まるというのだろう。だいたい取り締まる側の警察官が圧倒的に足りていない。

 おそらく来年4月の施行日には新聞テレビ巻き込んで大キャンペーンで「今日から青切符です」「○○交差点では、次々と違反自転車が止められました」なんて、いつものパターンで報じられるだろう。

 で、おおよそ2週間騒いだらおしまいだ。その間、歩道走行するママチャリ同士で「反則金6000円も取られちゃったわ」「運が悪かったわねぇ」なんてことが頻発する。

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