投球フォームに躍動感なし
楽天時代から取材してきたスポーツ紙記者は、気になることがあるという。
「全盛期の時に比べて直球の威力が落ちているのでモデルチェンジの必要があるのは理解していますが、投球フォームに躍動感がないんですよね。田中の良さは荒々しさです。制球力が多少アバウトでもいいので、立ち上がりからリミッターを外して腕を振っている姿を見たいです」
結果が求められる1軍と違い、ファームは色々試せる部分がある。首脳陣も復活への道を模索し、色々なプランを考えているだろう。巨人OBは「通算200勝で区切りを迎えるのではなく、まだまだ白星を積み重ねてほしい。個人的には中継ぎに配置転換も有効な選択肢だと思います。自分は現役時代に先発、中継ぎを経験しましたが、先発は長いイニングを投げるために出力を無意識に抑えてしまう。中継ぎは短いイニングを目一杯投げるので、出力が上がって球速もアップします。田中も結果は二の次で、短いイニングに直球をどんどん投げ込むことで復活のヒントをつかむかもしれません」。

高卒で楽天に入団以来、先発一筋で投げ続けてきた田中だが、リリーバーに回ることはキャリアの中で決して遠回りではない。広島一筋の現役時代に先発、抑えで通算148勝138セーブをマークした大野豊氏は、36歳シーズンの91年に先発から抑えに回り2年連続で最多セーブをマークすると、95年のシーズン途中に先発に戻り、97年に防御率2.85で自身2度目の最優秀防御率を獲得している。抜群の制球力を武器に、日米通算100勝100セーブ100ホールドを達成した上原浩治のようなケースもある。
「田中に中継ぎの適性があるかどうかは現段階で判断が難しいですが、復活を目指すプロセスの中で挑戦する価値はあると思います。ロングリリーフで結果を残せば、起用法の幅が広がる。先発に戻ったとしてもリリーバーの経験は役に立つでしょう」(スポーツ紙デスク)