
突きつけられた現実は厳しかった。巨人・田中将大が中13日の登板間隔を空けて1日の広島戦(東京ドーム)に登板したが、3回8安打3失点で降板。1回2死から5連打を浴びて3点を先制されると、2、3回もピンチの連続。追加点は許さなかったが、3回に打席が回ってきたときに代打が送られて交代した。
チームがその後に同点に追いつき、延長12回の末にサヨナラ勝利を飾ったのが救いだった。だが、前回登板の4月17日のDeNA戦(東京ドーム)でも2回7安打6失点と試合序盤にKOされた。ファームでの再調整を経て、チャンスを与えられたが試合を作れなかった。他球団のスコアラーはこう分析する。
「不運な打球がありましたが、ストライクゾーンに球をそろえすぎた印象があります。あとは球のキレですね。田中は内外角にきっちり投げ分けるタイプではなく、ストライクゾーンで押し込める直球があるから、スプリットやスライダーなどが効果を発揮する。近年はその直球が走らず空振りを奪えないので、変化球でもタイミングをずらせずに痛打を浴びている。本人が一番歯がゆさを感じているでしょう」
移籍後初登板となった4月3日の中日戦(バンテリンドーム)で5回5安打1失点にしのぎ、586日ぶりの勝利を飾ったが、広いバンテリンドームで元気のない中日打線に助けられた側面があった。2試合連続KOを喫したことで、先発ローテーションからはしばらく外れることになる。今後は桑田真澄2軍監督、久保康生巡回投手コーチの助言を受けながらフォーム固めに入るが、復活への道は険しい。今年2月の春季キャンプから久保巡回投手コーチの指導を受け、横回転だった体の動きを「縦振り」にするフォームに矯正してきたが、一朝一夕で劇的に変わるわけではない。菅野智之(現オリオールズ)が久保巡回投手コーチの指導の下でフォームを見直して昨年最多勝に輝いたが、結果に結びつくまで1年以上かかった。無意識に体に染みついている動きを改善するのは時間がかかる。