AERA 5月5日-5月12日合併号より

 セクハラに遭った時も「相談したら仕事に集中できなくなる」と考えていたといい、「余裕があれば、深刻な問題だと捉えられていたのかもしれないですね」。

管理職の女性10.9%

 ロイター通信東京支局での勤務経験がある東京大学大学院情報学環の林香里教授(マスメディア研究)によると、新聞社は戦時中に号外を出すことなどで事業を拡大してきた歴史があり、圧倒的に男性が多い職場であり続けてきた。

「マスキュリニティー(男性性)が壁紙にまで染み付いている。そのことをまず意識し、徹底的に職場文化を改革しなければ、セクハラはなくならないでしょう」

 日本新聞協会のデータによると、新聞・通信社の女性従業員の割合は23.7%(2024年度)。管理職に占める女性の割合は10.9%だった。

 さらに、複数のメディアを渡り歩くことの多い欧米と異なり、日本ではひとつの会社に勤め続けて出世する年功序列も一般的だ。「流動性がない中、立場が上の人からセクハラを受けた時にビシッと言える人は少ないのでは。言えなかったからといって当事者に反省させるのは間違っている。襟を正すべきはマネジメント側です」(林教授)

(フリーランス記者・山本奈朱香)

AERA 2025年5月5日-5月12日合併号より抜粋

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