春の園遊会に出席し、「松山テント」周辺で招待者交流する愛子さま。勿忘草色の本振袖は、紗綾形(さやがた)に菊と蘭をあしらった本紋(ほんもん)の地紋が織り込まれた優雅な生地2025年4月22日午後2時26分、東京・元赤坂の赤坂御苑、JMPA
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 天皇、皇后両陛下主催の春の園遊会が、4月22日に元赤坂の赤坂御苑で開催された。皇后雅子さまは、淡い黄の淡黄蘗(うすきはだ)に優美な藤の訪問着。両陛下の長女の愛子さまは、可憐な空色に貝桶の吉祥文様が描かれた本振袖で臨んだ。実は、天皇家の菊紋のお着物をお召しのおふたりには、共通の美意識がある、と専門家は話す。

【写真】美しい!まさに「王朝の姫」愛子さまの振袖姿に、思わずため息…

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 やさしい日差しに、可憐な明るい青色を指す「勿忘草(わすれなぐさ)」の生地が、愛子さまの笑顔を一層明るく見せていた――。

 春の園遊会は、62年ぶりに形式を変更。両陛下、秋篠宮ご夫妻を中心とする皇族方、そして愛子さまと佳子さまらプリンセスを中心とする3手に「道筋」を分けて、できるだけたくさんの招待者と交流できるよう配慮した。

 愛子さまらが向かう「松山テント」と呼ばれるエリアには、大勢の人が集まり華やいだ空気に包まれた。

 愛子さまは、目線があうとにっこりほほ笑み、招待者の話に、うん、うん、とうなずく。全力で「おもてなし」をする愛子さまの所作に、招待者は「お可愛らしい」と、目を細める。

春の園遊会。三笠山付近での懇談を終え、急ぎ足で「松山テント」に向かう小道を歩く愛子さま。王朝遊びの「貝合わせ」の蛤と貝桶、躍動感のある紐が描かれた本振袖=2025年4月22日午後2時25分、東京・元赤坂の赤坂御苑、JMPA

 この日の愛子さまがお召しだったのは、未婚女性の第一礼装となる三つ紋の本振袖。袖には、天皇ご一家である内廷皇族が用いる「十六葉八重表菊」の菊紋を見ることができる。

 青空を映したような美しい着物には、王朝遊びのひとつである「貝合わせ」に使う蛤と入れ物である貝桶といった吉祥文様が大振りに描かれている。

 思い出されるのは2003年秋の園遊会。雅子さまはまだショートヘアだった時期で、やはり「貝桶」が描かれた、淡い地色の訪問着をお召しだった。幼い愛子さまと遊ぶ、母としての雅子さまを想わせるような優しい柄行が印象深いお品だ。

愛子さまがまだ幼い時期、2003年の秋の園遊会に出席した雅子さま。織りだされた鳳凰が帯に重厚感を添えている。王朝遊びの「貝合わせ」の貝を収める六角形の「貝桶」が描かれた、優しい柄行の訪問着=2003年、赤坂御苑、JMPA
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