鈴木涼美さん
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 作家・鈴木涼美さんの連載「涼美ネエサンの(特に役に立たない)オンナのお悩み道場」。本日お越しいただいた、悩めるオンナは……。

【写真】タトゥーがセクシーな小麦色の肌…39歳の鈴木さん

Q. 【vol.39】「自分を大切にする」がわからなくなったワタシ(20代女性/ハンドルネーム「某都民」)

 涼美さんこんにちは、今年27歳の独身OLです。世間一般で言うクズ男と遊んだりしていると、周りの友達からもっと自分を大切にしなよ、と言われます。確かに傷つくこともたまにはあるけど、自分のやりたいことを我慢するのは嫌だし、楽しいし好きでやっていることです。「自分を大切にする」って一体なんなんでしょうか。わからなくなってきました。もう27歳で自分の機嫌の取り方もわかっているので、独身ですが、生きてて普通に楽しいです。

A. ダメージデニムもまた乙

 毎年一枚買い足す織田裕二系の真っ白いシャツに隅から隅までアイロンをかけてパリッとさせて着るのが好きな人もいれば、一本しかないヴィンテージデニムを洗わず毎日着て好みのダメージに育てていく人もいます。お医者さんのようなお仕事であれば清潔感を重視するために毎シーズン安い服を数着買って、シーズンが終わればすべて捨てるという人もいるでしょう。

 どれも何かを大切にする態度だと思うのですが、理解されやすいのはたぶん最初の人くらいで、ぼろぼろデニムは汚いと思う人もいれば、毎シーズン捨てるなんて服を粗末にしていると考える人もいそうです。それでも、その人なりの装いへの愛があり、好みの装いがあり、大切にしたい心がけもあるわけです。

 人生もそうだと、私は思います。私は、親からもらった大切な身体は穴だらけの落書きだらけだし、十代の頃に馬鹿みたいに日焼けサロンに行っていたせいで肌の老化も激しいし、危うい青春を経て外側だけでなく中身もしっかり穢(けが)れ、すり切れ、シミだらけです。かなりツウ好みのダメージデニムのようになってしまいました。

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