好調を維持する柏レイソル(写真:日刊スポーツ)
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 2025年のJ1リーグは4月20、21日の第11節を終えた時点で首位から5位まで勝ち点差2、11位までは勝点差4という大混戦で、その順位も“予想外”と言える波乱の展開となっている。そこで序盤戦を終えた段階での「明」と「暗」のチームについて語りたい。

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 J1昇格4年目の京都サンガは、間違いなく「明」のシーズンを過ごしている。昨季後半戦でV字回復した自信を手に迎えた今季、開幕黒星スタートも第6節から2度の2連勝で、12試合を終えて6勝3分け3敗。消化試合が1試合多いとはいえ、勝点21でクラブ史上初のJ1首位に立った。ここまで8得点4アシストと前線の核となっているブラジル人FWラファエル・エリアスが立役者だが、FW原大智の奮闘ぶりや川崎颯太、福岡慎平、平戸太貴の中盤に、須貝英大、佐藤響のサイドも好パフォーマンス。J1トップの1試合平均スプリント回数153のデータに表れている攻守にアグレッシブな戦いぶりで、川崎(1-0)、清水(2-1)、広島(1-0)を下し、カシマスタジアムで鹿島に逆転勝ち(4-3)した試合はクラブ史に残る伝説的な試合になった。失点数の多さが気になり、夏場の走力低下への懸念もあるが、曹貴裁監督5年目で戦い方にも迷いがない点は今後も大きな強みになるはずだ。

 その他、鬼木達監督を迎えて“勝負強さ”を取り戻した感のある鹿島アントラーズ(勝点19)、金明輝監督の元で強度の高いプレーで一時は首位にも立ったアビスパ福岡(同19)、長谷部茂利監督就任でACLも戦いながら上位に付ける川崎フロンターレ(同18)と、新体制となったチームが上位にいるのが目立つ。その中でやはり、リカルド・ロドリゲス監督が就任した柏レイソルが内容的に最も「明」と見る。

 昨季17位のチームから大黒柱のマテウス・サヴィオが退団したことで、開幕前は「未知数」かつ、新監督の戦術浸透に「時間がかかる」と考えていたが、蓋を開けてみれば開幕11試合を終えて5勝5分け1敗の勝点20で2位となっている。第5節から4戦未勝利(3分け1敗)と停滞したが、第9節のG大阪戦(1-0)ではスコア以上の試合内容で完勝。3-4-2-1システムからのビルドアップが非常に整理されており、ここまで1試合平均パス数621.3本、平均ボール支配率58.6%はリーグ断トツの数字を誇っている。その数字が結果に直結する訳ではないことは周知のことだが、少なくとも自チームの選手たちが多くボールに触り、選手とボールが有機的にピッチ上を動く様子は、サッカーファンならば「面白い」と感じる。選手個々を見ると、GK小島亨介、MF小泉佳穂、久保藤次郎らの新加入組が躍動し、DF古賀太陽、MF小屋松知哉、さらに24歳の大型ボランチ坂光希の働きも見事だ。相手が“レイソル対策”を練ってくる二回り目で新たな“引き出し”を掲出できるかが鍵だが、サポーターにとってはこのまま楽しい1年を過ごせるはずだ。

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