FAで巨人に移籍した甲斐拓也(写真:日刊スポーツ)
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 まもなく開幕から1カ月が経過するプロ野球。注目度が高いのが新戦力の選手たちだが、近年は外国人選手の苦戦が目立ち、即戦力となれるルーキーも減っているだけに、チームの成績を左右するのはやはり実績のある移籍組の選手たちである。ここまで期待通りの活躍を見せている選手としてはどんな名前が挙がるのだろうか(成績は4月22日終了時点)。

【写真】巨人の主軸にと期待されているのはこの選手

 投手でまず見事な活躍を見せているのが広島からフリー・エージェント(FA)で移籍した九里亜蓮(オリックス)だ。移籍初登板となった3月29日の楽天戦こそ勝ち星こそつかなかったものの6回2失点としっかり試合を作り、その後は3連勝をマーク。ここまで4試合に登板して防御率1.16という数字も見事だが、それ以上に大きいのが長いイニングを投げているという点だ。4月5日の日本ハム戦と12日の楽天戦では8回、そして18日の日本ハム戦では9回を一人で投げ抜いて、1失点完投勝利をマークした。広島時代も二桁勝利こそ2021年の一度だけだったが(13勝)、昨年まで8年連続で100イニング以上を投げており、先発投手としてイニングを稼げるというのは大きな魅力である。またリーグが変わると苦しむ選手も少なくない中で、そういう点が全く見当たらないというのも頼もしい限り。今後も先発ローテーションの中心として期待できそうだ。

 九里と同じ先発投手では、ソフトバンクからFAで移籍した石川柊太(ロッテ)も大きな戦力となっている。移籍後初登板となった4月3日のオリックス戦は、2回途中で若月健矢への頭部死球によりまさかの危険球退場というほろ苦いデビューとなったものの、11日のソフトバンク戦は5回2失点、22日の西武戦も5回を投げて1失点と先発投手としての役割はしっかり果たしている。代名詞と言える大きく鋭く変化するパワーカーブは今年も健在。小さく変化するカットボールも威力を発揮している。九里のようにもう少し長いイニングを投げてもらいたいという声もあるが、長いシーズンを見越して起用しているという首脳陣の方針も影響していることは間違いない。チームはオフに佐々木朗希(ドジャース)、メルセデス(台湾・統一)と2人の先発投手が抜けているだけに、その穴を埋める一番手として今後も安定した投球に期待したい。

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